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ラップ口座やファンドラップのデメリットは何だろう?

最近、金融機関は、ラップ口座やファンドラップという金融商品の販売に力を入れいてるようです。

これらは一体、どんな商品なのでしょうか。そして、私たちが利用する価値はあるのでしょうか。

ちょっと確認してみましょう。

ラップ口座とは?ファンドラップとは?

まとまった額の運用をする時の金融商品として、ラップ口座と呼ばれる商品があります。日本では、比較的新しい金融商品です。

ラップ口座がどんな商品かを一言で言うと、金融機関に運用を任せてしまう商品だと考えると分かりやすいでしょう。基本的な運用方針だけ最初に決めておいて、その後は金融機関の裁量で運用してもらうのです。

良い言い方をするとプロに全面的に任せる運用とでも言えるでしょう。まあ、実際どんなものかは、後述しますが。

また、通常のラップ口座よりも多少低い額から投資できる、ファンドラップと呼ばれる商品もあります。

運用を金融機関に全て任せられると言う意味では、ファンドラップも同様です。ただファンドラップは、運用対象を投資対象を投資信託に絞っています。

つまり、「あなたのためにプロが投資信託を使って運用してくれる」わけですね。

ここまでの説明から分かるように、関係性としては、ファンドラップはラップ口座の一種だと考えておけばいいでしょう。つまり、次のような感じですね。

もともとは富裕層のための商品

ちなみに、ラップ口座と言うのは、もともとは一部の富裕層のためのものでした。しかし最近では、取り扱う最低価格が下がり、庶民でも利用できるようになっています。

具体的な価格帯としては、数百万円程度から利用可能ですね。2人以上世帯の平均的な金融資産の額が1000万円程度なので、このくらいの金額は出せるという世帯も少なくはないでしょう。

基本方針さえ話し合っておけば後はプロが運用してくれるというのは、何となく素晴らしいことのように感じます。何だかとても上手くいきそうな気がしますよね。

それが、比較的手頃な金額で利用できるのですから、メリットが大きそうな気がします。庶民も富裕層向けの商品が使えるようになったわけですからね。

実際のところは、どうなのでしょうか?デメリットは無いのでしょうか?

ラップ口座やファンドラップにデメリットはあるの?

一見素晴らしい商品のように思えるラップ口座やファンドラップですが、なにかデメリットはないのでしょうか。ある程度の金融資産がある人は、積極的に使ったほうが良いのでしょうか。

デメリットは大きな手数料

残念なことに、ラップ口座やファンドラップには、大きなデメリットがあります。それは手数料の高さです。

手数料がどのくらい高いのか、具体的に例を挙げてみましょう。野村證券のファンドラップの手数料では次のような説明がされています。

ちょっと長いですが、引用してみましょう。

野村ファンドラップのリスクと料金
本サービスの料金は、投資一任受任料とファンドラップ手数料の合計額となります。投資一任受任料は固定報酬制と実績報酬併用制があり、固定報酬制では最大で運用資産の0.4049955%(税込み・年率)、実績報酬併用制では最大で運用資産の0.2024925%(税込み・年率)+運用益の積み上げ額の10.5%(税込み)となります。ファンドラップ手数料は最大で運用資産の1.26%(税込み・年率)となります。このほかに投資信託では運用管理費用(信託報酬)(最大で信託財産の1.35%±0.70%(概算)(税込み・年率))、信託財産留保額(最大で信託財産の0.5%)、その他費用をご負担いただきます。(後略)

上の説明を整理してみましょう。

まず、野村證券の直接的な取り分ですが、2つの手数料がかかると書かれています。「投資一任受任料」「ファンドラップ手数料」の2つですね。

そして、その上、投資信託に通常かかる手数料がかかるのです。ファンドラップでは投資信託で運用するので、投資信託自体の手数料を間接的に取られるのは当然ですね。

これが、上の説明で言うと、「運用管理費用(信託報酬)」「信託報酬」ですね。

この説明を読む限り、これらを合わせると、年3%程度の手数料はかかりそうですね。その上、成功報酬的な手数料もあります。

まあ、投資信託ごとに手数料は違うので正確にはいえませんけど。小さめに見積もって、3%という理解で、そんなに間違っていないでしょう。

手数料に見合うリターンを期待するのは難しい

手数料が年3%ということは、最低でも年3%以上で運用しないと、資産が目減りするということです。でも、年3%で運用するのって、そんなに簡単ではないんですよね。

そもそも、長期国債の利回りが年0.8%前後の時期ですからね。結構なリスクを取らないと、年3%以上のリターンなんて期待できないのです。

具体的に言うと、株式の比率をかなり高めにしないといけないでしょう。

(2019年3月追記:2019年3月時点では、ついに、長期国債の金利はゼロになってしまいました。3%で運用しようと思うと、かなりリスクを取らないと厳しそうです。)

そして3%で運用できたとしても、その儲けに該当する分は、手数料で取られてしまうわけです。つまり、投資家の儲けはゼロです。

ちゃんと儲けるには、それ以上のリターンが必要だということになります。4%とか5%で運用して、やっと1%とか2%の利益が出るという感じです。

しかも、新聞記事などを読む限り、ラップ口座を選ぶ人はそれほど大きなリスクを取りたくない人が多いようです。そうなると、利用者の嗜好とはあわない商品という印象ですよね。

株式の期待収益率は6%程度

ところで、投資の世界には、期待収益率という言葉があります。これは、ある商品で1年間運用した時に、元本に対して何パーセント程度のリターンが期待できるかという予想値です。

年金基金などの数字を見る限り、債券は1%台、株式は6%前後で設定されていることが多いようですね。

ということは手数料が3%という仮定の下だと、1%のリターンを得るためにはかなりの割合の株式を組み込む必要があります。つまり、相当のリスクを取らないと、年1%のリターンすら期待できないということになるわけです。

バカバカしくて検討にも値しない

ファンドラップの手数料を具体的に考えてみると、だいたい上に書いたような感じです。この事実を知っていると、ラップ口座やファンドラップで運用している人は、金融機関から鴨られているようにしか思えません。

金融のプロに任せったって上手に運用できるわけではない

そもそも、金融機関のプロに運用を任せたからと言って、ビックリするようなリターンは期待できるわけではありません。プロが上手に運用できるのなら、同じくプロが運用しているはずの投資信託はもっと儲かっているはずです。

でも、投資信託でびっくりするほど儲かったなんて話は、そんなに聞きませんよね。

もっというと、日本株の投資信託は、日経平均株価指数に勝てないのが現実です。

一つ一つを見れば、日経平均よりも良いリターンの投資信託は有ります。でも、投資信託全体として平均を出せば、日経平均に負けているのです。

それどころか、リスクを大きく取った場合は、マイナスになる可能性だって小さくありません。ですから、正直なところ、あまり勧められる投資とは言えないのです。

10年物の個人向け国債でも使った方がマシかも

だとしたら、ラップ口座とかファンドラップを使うのではなく、変動金利型の10年物の個人向け国債でも利用した方が良いかもしれませんね。この商品なら、ある程度インフレにも対応できますし。

手数料のやすい投資信託を買おう

これに加え、リスクを取れる部分に関しては、手数料の安い投資信託を買えば良いでしょう。日本株のインデックスファンドと、外国株のインデックスファンドの2本を組み合わせれば良いのではないかと思います。

私だったら、そういう運用をしますけどね。まあ、運用は個人の問題ですから、ラップ口座を使おうという人を無理に止めはしません。

富裕層なら話は別

これが、富裕層なら、少し話は違います。もう少し合理的な手数料で、請け負うことができるのです。

例えば、100億円の金融資産の運用を任されたとしましょう。年0.2%の手数料で請け負っても、2000万円の売上になります。

これだけの手数料があれば、少なくとも、実際に運用する人の人件費くらいは出せますよね。庶民の場合とは、全然条件が違うのです。

無理に庶民向けの商品を作ったのでしょう

最初に書きましたが、ラップ口座というのは、本来は金持ち向けの商品です。それを、無理やり庶民でも買えるようにしたので、手数料がおかしなことになってしまったのです。

もちろん、ラップ口座やファンドラップを売っている金融機関の人たちは、こんなことわかっているはずです。全部わかった上で、損をする可能性が大きい商品を売っているわけですね。

意図的に騙しているとまではいいませんが、肝心の部分を分かりづらくしている印象はあります。まあ、そんな商品です。

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