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マンション投資が株式よりリスクが小さい?ご冗談を

世の中には、不動産投資は株式投資よりリスクが小さいと思っている人がいるようです。比較的リスクが小さいと思っているから、お金を借りて投資しようと思うわけですからね。

率直に言って、私個人としては、この感覚が理解できません。何が問題なのか、考えてみましょう。

マンションへの投資は株式投資より低リスクなの?

サンケイビズにマンション投資の記事が出ていました。投資用のマンション選びで失敗しないコツを紹介するという記事です。

老後を迎える前に…マンション投資 コツは「人口増の駅・徒歩10分内」(SankeiBiz)

でも、率直に言って、この記事はちょっと問題がありそうな気がします。

そもそも気になるのが、冒頭部分の次の記述です。

「「株式よりもリスクが低く老後資金にもなる」が盛況の理由だが、注意すべき点も多い。」

この前提って、本当なのでしょうか?かなり疑わしく思えるのです。

分散投資ができない

確かに、単純な価格変動だけを考えると、株式よりも不動産の方が値動きは小さいでしょう。でも不動産の場合、複数の物件で分散投資をするのは難しいのです。

リスクが高いと思われがちな株式投資ですが、分散投資をすることでかなりリスクを小さくすることができます。しかし投資用マンションを買うような場合は、これができないわけですね。

分散投資ができないとなると、一瞬でその物件の資産価値が大きく落ちることがあります。

例えば、地震でマンションが倒壊すると、かなり大きな損をすることになるでしょう。地震保険は一応ありますが、地震保険の場合は損害の全てを補償してくれるわけではありません。

さらに言うと、マンション内で自殺があったり傷害事件があったりすると、マンションの価値は一気に落ちてしまいます。

借金はリスク

それに負けないくらい大きいのが、ローンを組むというリスクです。

当然ですが、全額自腹で投資用マンションを買えないケースも珍しくありません。そうなると、お金を借りて投資をすることになります。

このローンの返済は、入居者の家賃を充てることを想定しているでしょう。しかし、もし入居者が見つからなければ、ローンの返済が滞ってしまいます。

すぐに入居者が見つかっても、家賃の支払いを出来ないような入居者が入る可能性もあります。

一度入居した人は、家賃を滞納しようが何をしようが、簡単に追い出せません。この入居者が出て行くまでの数年間は、収入が無いことだってあり得ます。

■ 生活費を削ってローン返済をする羽目に

このような問題がある場合、購入に際してローンを組んでいるなら、結局自腹で返済する必要が出てくるのです。

いや、まだ自腹で返済できるうちは、問題はそれほどおおきくありません。自腹で返済するのが限界と慣れば、もうアウトです。

物件を売ろうにも、すぐに売れるとは限りまえんよね。それに、思った値段で売れるという保証は、どこにもありません。

通常の株式にはここまでのリスクはない

一方、株式の場合は、ここまでのリスクはありません。また、分散投資によりリスクを小さくするのも簡単です。

日本だけでなく世界の株式にも投資するようにすれば、リスクはかなり小さく出来るでしょう。また、投資信託などを使って、たくさんの株式に投資するのです。

もちろん、これでも、リスクがないとはいいません。でも、マンションのように、突然価値がゼロになるとか、半分になるというような自体は想定しづらいわけです。

単純な価格変動だけを見て、不動産の方がリスクが小さいと考えるのは、ちょっといただけないのです。

その他にも色々と問題が

今回の記事での問題点はこれだけではありません。記事の中でしている試算には、お花畑的な仮定が次々に出てきます。例えば記事の中で次のような試算をしています。

322万円でワンルームマンション(約16平米)に投資すると、投資から18年後に資金の回収が出来る。そして、築40年近い駅から徒歩10分のワンルームマンションが老後のための資産として残る。

この仮定は、所得税などが考慮されているかどうか分かりません。また、リフォーム代も含まれていないようです。

全体として、コストが過小評価されているとしか思えないふしがあります。ですから、本当に18年で回収できるかどうかは疑問です。

仮に18年で回収できたとして、それで問題が解決できるわけではありません。築40年のワンルームマンションに価値が残るのかという問題もあります。

よほど駅から近ければ、それなりに価値も残るのでしょうけどね。徒歩10分の物件だったら、入居者は見つけるのは難しそうですよね。

築40年の狭い16平米のアパートに住みたいと思う人は、月々いくら払ってくれるのでしょうか。

現状を見ればマンションは供給過剰でしょうから、この物件にわざわざ住みたいと思う人を探すのは至難のわざでしょう。移民政策でもとらない限り、日本の人口自体は減っているでしょうしね。

このように、記事の中では相当楽観的な見通しをしているようです。率直に言って、見積もりが甘すぎです。

雰囲気に流されて投資しようなんて思ったら、ちょっと危険かも。

もう一歩踏み込んでみましょう

さて、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。322万円の初期費用で物件を買い、予定通り18年で回収できたとします。そして、その時点でマンションの価値が200万円だったとしましょう。

まあ、シナリオとしてはベストに近いシナリオですよね。322万円を522万円に増やせたようなものですから。

金融資産で運用した方が増えるかもよ

では、322万円で何か別の資産を買って運用したらどうでしょうか。

実は、322万円を年利2.7%で複利で運用すると、18年後にはおよそ520万円に増やすことが出来ます。実際には所得税などがかかるので、もう少し高い利率が必要なんですけどね。

記事の中ではマンションの所得税も無視しているようなので、良いとしましょう。

上にも書きましたように、記事の中ではバラ色の仮定をしています。その上で計算しても、リターンとしては年2.7%程度の運用利回りなのです。これが良い決断なのかといわれると、相当疑問ですよね。

ちなみに、株式の期待収益率は5%から6%程度だと考えられます。ということは、資産の半分を株式にして、残りを銀行預金なり個人向け国債などで持つなりすれば、マンションを買うよりも有利ということになります。

何にしても、この程度のリターンしか期待できないのなら、ローンを組んで投資するかは微妙でしょう。一括で買えるとしても、リスクの大きさを考えると、避けた方が良いとおもいます。

私だったら、半分で株式のETF を買い、残りの半分で個人向け国債でも買います。投資としては、余程懸命なように思えます。

どうしても不動産の投資がしたければ、REIT でも買ったほうがマシでしょう。率直に言って、投資用マンションというのは、あまりいい選択肢とは思えません。

まあ、投資はやってみないとわからないところもありますけどね。でも、あまりお勧めできるもので無いのは事実です。

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