資産運用の入門書を読んでいると、「毎日、経済ニュースをチェックしましょう」というようなアドバイスが書かれている事があります。この手の本の著者によると、こまめに経済ニュースを読むのが良いらしいです。
でも、冷静に考えると、毎日経済ニュースをチェックするのが、必ずしも良いこととは思えません。経済ニュースが資産運用をする上でのノイズになることも多いのです。
教養や社会常識として、経済の知識を身につけて最近の動きを知ることは意味があります。でも、資産運用ではマイナス面もあるということですね。
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経済ニュースをチェックするのが大事って本当?
投資関連の書籍や雑誌を読んでいると、「こまめにニュースをチェックし経済動向をつかみましょう!」などと書かれている事があります。あるいは、「常に自分が持っている株の株価や、投資信託の基準価額をチェックしましょう」なんて書かれていることもあります。
常に目を光らせておけという教えですね。確かに、もっともらしいアドバイスに、聞こえなくもありません。
これを常識だと思っている人も、少なくないでしょう。仕事終わりに自分の持っている株の株価をチェックして、朝アメリカ市場の動向をチェックしてなんて言う真面目な人だって少なからずいるはずです。
しかし、個人の資産運用に関してだけ言うと、日々のニュースや株価などのチェックは、それほど重要ではありません。むしろ、害になる事すらあります。特に、長期投資を考えている場合ですね。
なぜそんな事がおきるかというと、たくさんのニュースに接する事で精神的に動揺してしまうのです。そして、その動揺が間違った行動を引き起こします。
経済ニュースが誤った方向にあなたを導く
例えば、あなたがA社の株の購入を検討していたとします。そんな時に何かちょっとしたトラブルがおこり、A社の株価が1日で5%下げたとしましょう。
悪いニュースで株価が下がる場面というのは、むしろ株を買う絶好の機会である可能性があります。悪いニュースで株価が下がると、パニックに陥り、慌てて売ってしまう人がいるからです。
このトラブルが解決可能なものであれば、A社の株を買うと言う投資判断を変える必要はありません。もしかしたら、株価が下がっている分だけ、割安に買えるかもしれません。
その結果大きく下がりすぎるので、そのタイミングで買っていれば、儲けられる事が多いのです。逆張りというやつですね。
しかし、多くの人は、こういうタイミングでA社の株を買う事ができません。株価が下がっている事に不安を感じてしまい、買いの注文が出せないのです。
仮に、その悪いニュースが対処可能なちょっとしたものでも、必要以上に深刻に考えてしまうのです。こういう時には、多くの人は合理的な判断を下せていないようです。
このように、ニュースをチェックすることで、正しい判断ができなくなるケースも多いのです。
ニュースをチェックしていると不安で売りたくなる
もう一つ、ニュースのチェックがマイナスに働く例を挙げてみましょう。
投資信託などを使って資産運用をする場合は、その投資信託は頻繁に売買するものではありません。通常は、一旦買った投資信託は、何年、あるいは何十年の単位で持ち続けるのが定石です。
でも、こまめにニュースをチェックすると、本来なら持ち続ける投資信託を売りたくなってしまうこともあるのです。わかり易い例が、リーマンショックなどでしょうか。
確かに、あのような大きな経済的なトラブルがあると、株価は一時的に大きく下がります。ただ、数年単位というスパンでみると、この株価下落は、一時的な下落に過ぎないことがわかるでしょう。
これは、チャートをみると一目瞭然です。

リーマンショックの発信源だったアメリカのダウ平均は、確かに2008年頃に大きく下がっています。しかしその後は回復し、あとから見れば一時的な下落に過ぎませんでした。
その当時に株式を持っていた人からすると、こういう時はパニックに陥って全てを売りたくなるでしょう。でも、長期投資を考えているのであれば、そのような判断は間違いです。
長期投資という方針である以上は、一時的な下落に惑わされずに、保有し続けることが大事なのです。
ですから、経済ニュースや株価のチェックは、害になるケースもあるわけです。マメにニュースをチェックした、大きく株価が下落したのを見れば、誰しも売りたくなりますからね。
ニュースを見るのは良い事だけど、惑わされるのはダメ
こんなふうに書くと、毎日のニュースチェックを否定しているように思われるかもしれません。しかし、そんなことはありません。
毎日ニュースをチェックするのは、もちろん良いことです。社会人として生活するのであれば、常識として経済の動きは知っておくべきです。
しかし、そのニュースに翻弄されるのは、なんとしても避けましょう。
自分が資産運用をしていると、どうしても経済ニュースと持っている金融資産の動きを結びつけたくなります。これを極力排除するように心がけるのです。
株価や投資信託の基準価額を毎日チェックするのは、特におすすめしません。株価が変動しているのを見ると、必要ない売買をしたくなってしまいますからね。
上の例ではありませんが、1日に5%も下落したのを見れば、売ってしまおうと考えるものです。実際に売るかどうかは別にして、心が動くのは避けられません。
長期投資を考えているのであれば、これは、百害あって一利なしです。
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