このページでは、具体的な資産運用について考えてみましょう。Aさん一家を想定し、余裕資金の1,000万円の運用について考えてみるのです。
【Aさん一家プロフィール】
・Aさんの職業は会社員、Aさんの妻はパートタイム、Aさんには小学生の子供が1人
・1000万円の預貯金
・1ヶ月の生活費は、月額25万円
・3年後に200万円の車を購入予定
・リスクは積極的に取れる
・100万円の借金がある
このAさんの場合、どのように資産運用したらいいのでしょうか?
Contents
現金として3か月分の生活費を確保
まず、いざと言うときのために、3か月分の生活費を確保しましょう。
Aさん一家の1ヶ月の生活費は25万円です。ですから、まず、75万円を確保します。
おそらく、このくらいあれば、急な病気やケガにも対応できるはずです。長期の入院になっても、十分に生活ができると考えられます。
ちなみに、生保会社が売っている医療保険に入る必要はありません。公的な医療保険である健康保険は大変優秀なので、手数料がバカ高い民間の医療保険などに入らなくても全く問題が無いのです。
また、Aさんは会社員なので、病気などで働けない期間は傷病手当金というお金が出ます。これも健康保険の給付の一つです。金額は普段の給料の3分の2程度だと考えておくと良いでしょう。
75万円ではたりないと思った人もいるかもしれませんが、この傷病手当金があるので、75万円でも十分に足りるはずです。
Aさんが自営業の場合は、実は、傷病手当金がでません。ですから、Aさんが自営業だったらもう少し多めに現金や預金を残しておくべきでした。
借金は優先して返済を
借金がある場合は、返済を優先するというのがルールです。
Aさん一家の場合は100万円の借金があります。この額なら、現在持っている預貯金の中から十分に返済できます。
ですから、とっとと、これを返してしまいましょう。
借金の利子を超えるような運用はなかなかできませんからね。返済するのが絶対に賢い選択です。
5年以内に使うお金は確保
Aさん一家の場合は、車を購入するお金が必要です。ですから、この分の200万円も別に分けておきます。
2017年12月追記:運用の方法次第では分ける必要はありません
もっとも、資産運用の方法次第では、特に分ける必要は無いかもしれませんね。例えば半額は個人向け国債で運用するのであれば、それとは別に200万円をわけなくたっていいわけです。
逆に、全額をPER が高い成長株に投資するとかいう話なら、200万円は分けておいた方が安心でしょう。最悪のケースだと、ゼロになる事もありますから。
日本株と外国株のインデックスファンドに投資するような場合は、判断に迷いますね。とんでもない状況が起きない限り、200万円を確保できないというケースは考えられません。ですから、この200万円を分ける必要性も特にないわけです。
しかし、例えば、残りが300万円まで減ってしまったとしたら、そこから200万円をだすのはちょっと気が引けますよね。まあ、常識的に考えると、インデックスファンドを買っていてそこまで下がるなんて、まず考えられない事ですけどね。リーマンショックの時でも、ここまでは下がりませんでした。
何にしても、大きく減ることを心配するのであれば、リスクを下げるために最初に200万円をわけておくのもひとつの考え方です。まあ、これは、その人がリスクをどの程度取れるのかによりますけど。人柄次第です。
残りのお金は投資へ
上で色々と書きましたが、200万円は元本保証のあるところに分けておいたとしましょう。
ここまでの話から、Aさん一家の預貯金1000万円のうち375万円は使い道が決まってしまいます。ですから、資産運用にまわせるのは、残りの625万円となります。
Aさんは積極的にリスクを取っていく事を考えています。この625万円でいくつかの金融商品を買います。
複数の金融商品を選ぶのは、分散する事でリスクを小さく出来るからです。
手数料を考えると、次の2つが利用しやすいでしょう。
・投資信託(株式に投資するもの)
・ETF(株式に投資するもの)
付け加えると、投資信託なら手数料の安いインデックスファンドがいいですね。
ちなみに、日本株と外国株の比率はおおよそ1対1でいいでしょう。少し外国株を多めにしてもいいと思います。
Aさん一家の場合、日本株に投資する投資信託を300万円、外国株に投資する投資信託を325万円という感じでしょうか。
大体こんなところからはじめてみてはいかがでしょうか。
リスクの調整は個人向け国債で
さすがにこれでは怖いという人は、625万円のうちの100万円でも200万円でもいいので、元本保証の商品を買えばいいのではないかと思います。個人向け国債が良いと思いますが、別に普通預金でも構いません。最近の状態だと、利息は大差がありませんから。
ただ、市場環境が変わった時に対応できるようにしておいた方が良いでしょう。つまり、金利が上がった時にすぐに動ける方が良いのです。
個人向け国債なら変動金利なので、新発国債の金利が上がれば個人向け国債の金利も上がります。普通預金なら、金利が有利な商品に移すことが容易です。
全額で個別株を買ってもいいんですけどね
もちろん、さらに増やしたいのであれば、625万円全額でボラティリティ1 が大きい個別株を買うなんていう選択肢もありますけどね。そういうギャンブラー気質な人は、わざわざこんなページは読まないでしょう。
掛け捨ての生命保険に入っておいても良いと思います
Aさんが生命保険に入っていないのであれば、625万円の一部を使って生命保険に入っても良いでしょう。掛け捨ての死亡保険である定期保険で十分です。
このときの保険金額は、1,000万円あれば十分です。というのも、Aさんが生命保険に入る必要があるとすれば、子供の進学費用のためだからです。
仮にAさんが亡くなった場合、残されたAさんの家族には遺族基礎年金と遺族厚生年金が給付されます。この年金とAさんの奥さんの給与があれば、最低限の生活はおくれるはずです。
ただ、子供の進学費用は大きな額になるので、この部分だけは別で準備しておいた方が良いのです。医学部に行くのでもなければ、高校の進学費用とあわせて、1,000万円もあれば十分に足りるでしょう。
大学が無償化になればこれも不要ですけどね
もっとも、もし大学が無償化になれば、この生命保険は不要になりますけどね。まあ、現状では、具体的に何も決まっていないので、準備はしておくべきでしょう。
- 価格変動の事です [↩]
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