個人向け国債の金利って、どうやって決まっているかご存知ですか?実は、一度、変動10年の金利の決まり方が変更になった事があるのです。
この変更の結果、低金利の時期には有利な金融商品になっています。まあ、国内の全体的な金利が低いので、ちょっとした差ではありますが。
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変動10年の個人向け国債がさらに有利になった
10年物の個人向け国債の金利の決まり方が変更になったようです。投資家にとって有利な変更です。
これにより、安全に運用したいお金は、個人向け国債の10年ものに入れておけば良くなったような気がします。もともと、個人向け国債は有利な商品ですしね。
さらに言うと、今回の変更により、3年程度の運用期間でも10年もの個人国債で良いかもしれません。これに関しては、後半で説明します。
何にしても、今後、安全に資産運用をしたいときには、先ず個人向け国債を思い浮かべるといいでしょう。かなりおすすめです。
いつでも解約できるのが個人向け国債の魅力
金利の話に入る前に、個人向け国債の解約のルールも変更されています。まず、これについて確認しておきましょう。
個人向け国債をおすすめする最大の理由が、解約のしやすさです。これは、変更以前から個人向け国債の大きなメリットでした。
個人向け国債の10年ものの場合、購入から1年が経過した後は、一定の手数料うことで額面金額での換金が可能です。ちなみに一定の手数料と言うのは、10年物の場合「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.8」です。
過去2回分の利子というのは、過去1年間の利子という意味ですね。要するに、直近1年分の金利の8割の手数料で換金に応じると言う意味です。
利子にかかる税金は約2割です。という事は、購入から1年経過した後は、税金を考慮しても元本割れすることなく換金できるわけです。
これは、かなり大きなメリットです。
金利の決まり方が有利になった
次に、金利の決まり方が以前に比べて有利になりました。今回の変更点ですね。
具体的には、次のように変更になっています。
以前の計算方法:基準金利-0.8%
現在の計算方法:基準金利×0.66
ちなみに、基準金利というのは、次のように説明されています。
「マウンテン変動10年」の基準金利は、利子計算期間の開始時の前月に行われた、10年固定利付国債の入札(初回の利子については募集期間の開始直前に行われた入札)における平均落札価格を基に計算される複利利回り(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)の値です。
ちょっと説明が分かりにくいので、具体的な数字で示してみましょう。財務省のホームページによると、直近の基準金利は1.09%でした。
これを基に、直近の10年ものの個人向け国債の金利を計算すると、年利で0.79%となります。しかし、仮に以前の方法で計算されていれば、0.29%しか利息は付きませんでした。
つまり今回の変更で、0.5%も金利が有利になった事がわかります。これを見れば、一目瞭然で、新しい計算方法の方が有利な事がわかります。
もちろん、長期金利が上がると、以前の計算方法の方がいいことになります。でも、そのときには、個人向け国債を換金して、別の金融商品に乗り換えればいいだけの話です。
私達にとって、不利な点はほとんどありません。
ちょっと計算してみよう
さて、これをもとに、銀行の定期預金などと比較をして見ましょう。
例として、300万円を3年間、安全に運用する事を考えてみましょう。メガバンクの定期預金、ネット銀行の定期預金、10年物の個人向け国債の3つで比較します。
計算が面倒なので、銀行の金利は単利として計算させていただきます。また、簡単のために、税金は無視して計算します。
●メガバンクの場合
これを書いている時点のみずほ銀行の金利を見ると、300万円預けた場合の3年定期の金利は0.050%です。つまり、年間1,500円の金利が付く事になります。
ですから、3年の運用で、300万4500円になります。要するに、ほとんど増えません。
●ネット銀行の場合
住信SBIネット銀行の場合、300万円預けた場合の定期預金の金利は0.291%です。300万円に対して、年間8,730円の金利が付きます。
ですから、3年の運用で、302万26190円になります。まあ、何も考えないでメガバンクに預けるよりはマシですね。
●個人向け国債の場合
金利は変動するので実際にはどうなるか分かりません。現在の0.79%という金利が3年間続くものとして計算しましょう。
まあ、普通はここからそんなに金利が下がる事は無いでしょう。
この仮定で計算すると、投資額の300万円に対して、毎年2万3700円の金利が付きます。ということは、3年の運用で、7万1100円の金利がもらえる計算になります。
しかし、個人向け国債の場合は、中途解約には手数料がかかります。それを考慮すると、最終的には305万2140円になります。
メガバンクの定期預金を利用するなんて…
細かい点は省略して考えていますので、実際には数字は少し変わってきます。しかし、それでも、個人向け国債が圧倒的に有利なのは、上の結果を見れば一目瞭然です。
逆に言うと、メガバンクの定期預金なんて組むなんて、全く考えられない話です。元本保証で有利な商品が他にあるのに、それに全く興味を示さないのですから。
お金のことが嫌いなのかとすら思ってしまいます。ちょっと言いすぎですかね。
まあ、考え直してみる価値は有る問題だと思います。
2019年1月追記:ゼロ金利やマイナス金利の時期でもプラスの金利になる
最近になって、国債の金利がゼロになったとか、マイナスになったという話を聞くことがあります。国債を買うと、金利を取られるという話ですね。
個人向け国債の金利は、新発国債の金利を基準に決まります。ということは、個人向け国債を買うと、確実に損をしてしまうのでしょうか。
だとしたら、銀行の定期預金にでも預けておいたほうがまだマシですよね。一体どうなっているのでしょうか。
個人向け国債には最低金利がある
実はこの点は心配する必要はありません。個人向け国債には最低金利が設定されているのです。個人向け以外の国債の金利がどれだけマイナスになろうとも、個人向け国債がマイナス金利になることは無いわけです。
この点に関しては、財務省のサイトで次のように説明されています。
基準金利が低くなると、適用利率(固定債は利率)がゼロパーセントやマイナスになるなど、著しく低くなるケースが出てきます。そこで、個人の方に、安心してご購入していただくために、最低でも0.05%(年率)の金利は保証することとしています。
個人向け国債についてのよくある質問| 財務省
また、すべての銘柄について金利に上限はありません。
固定3年、固定5年の金利の決まり方
個人向け国債には変動10年の他に、固定3年、固定5年というタイプもあります。この2つの金利の決まり方についても確認しておきましょう。
固定5年個人向け国債の金利
固定5年は基準金利から年率0.05ポイントを差し引いて決まります。0.01ポイント刻みです。
ここでいう基準金利というのは、直近の期間5年の利回りを指します。つまり、国債の金利よりちょっと安いという感じですね。
より正確な説明を、財務省のサイトから引用しておきましょう。まずは、固定5年の金利についての説明から。
「固定5年」は、発行時に設定された利率が満期まで変わらない固定金利タイプです。
個人向け国債についてのよくある質問| 財務省
利率(年率)は、基準金利から0.05%を差し引いた値(0.01%刻み)です。
次に、基準金利の説明です。
個人向け国債についてのよくある質問| 財務省
「固定5年」の基準金利は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の想定利回りです。
固定3年個人向け国債の金利
固定3年は基準金利から年率0.03ポイントを差し引いて決まります。0.01ポイント刻みです。
ここでいう基準金利というのは、直近の期間3年の利回りを指します。つまり、固定3年も国債の金利よりちょっと安いという感じですね。
こちらも、財務省のサイトの説明を引用しておきましょう。まず、金利から。
「固定3年」は、発行時に設定された利率が満期まで変わらない固定金利タイプです。
個人向け国債についてのよくある質問| 財務省
利率(年率)は、基準金利から0.03%を差し引いた値(0.01%刻み)です。
次に、基準金利の説明。
「固定3年」の基準金利は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間3年の固定利付国債の想定利回りです。
個人向け国債についてのよくある質問| 財務省
個人向け国債で資産運用するのは賢い選択| 特に「変動10年」がおすすめ
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まずは確定拠出年金(個人型)を検討しよう
個人の資産運用で一番有利な金融商品は、何と言っても確定拠出年金(個人型)でしょう。いわゆるiDeCo のことです。
普通に働いている人なら、年間数万円から数十万円の節税が可能です。もちろん、完全に合法です。こんなに有利な金融商品は、他には存在しません。加入がまだの人は、とりあえず検討だけでもしてみてはいかがでしょうか。
iDeCo をはじめるには、窓口となる金融機関を選ばないといけません。お勧めはSBI証券かマネックス証券です。とりあえずは、資料請求だけでも。

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