よく言われていることですが、個人の資産運用では、投資信託などを使った長期分散投資が重要です。国内外の株式や、債券などに幅広く投資するわけです。
これに関して、面白い調査が有るようです。株式や債券に分散投資した場合、10年保有し続けるのなら、いつ始めてもプラスになるというものです。
まあ、これには、少しからくりも有るのですけどね。興味深い指摘であることは、まちがいありません。
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10年間分散投資をすると、元本割れすることは無い
ダイヤモンドオンラインに興味深い記事が載っていました。内容を一言で言うと、「過去の実績を見る限り、10年という期間分散投資をすれば、元本割れしたケースは無かった」という内容です。
正確には、ザイの記事なのかな。次の記事ですね。
■ 「投資が始められない病」を治す特効薬投資期間を10年超に設定して始めなさい!
考えてみると、これってすごいことですよね。10年間分散投資をするだけで、タイミングなどは全く気にしないでも、確実に儲けられるということですから。
少なくとも過去のデータを見る限り、絶対に儲かる投資というわけです。もちろん、将来が保証されるわけではありませんけど。
これは、覚えておいて損はない事実です。
分散投資をして長期保有をすれば安全
調査の条件を、もう少し細かくご紹介しましょう。
次のような条件で運用した場合、スタートした年によらず運用成績はプラスだったようです。いつ始めても、10年後には、必ず増えていたわけですね。
- 日本株、日本債券、外国株、外国債券を25万円ずつ購入し
- 10年間保有し続ける
今回の調査によると、元本100万円が10年間の投資で、189万円になったのだとか。運用利回りになおすと、6.6%くらいでしょうかね。
今長期国債を買っても、金利が1%もつきません。ということは、10年物の国債を買って保有しても110万にもならないわけです。
それと比べると、かなりの運用成績と考えて良さそうです。世の中で言われている、長期分散投資が正しい運用であるという考え方は、あながち間違っていないことがわかります。
実は、ちょっと裏もある
ただ、この調査には、ちょっとしたトリックがあります。完全に鵜呑みにするのは危険な所があるのです。
リターンが大きいのは、高度経済成長やバブルのおかげもある
まず、この調査は高度経済成長の真っ只中である1970年から調査を始めています。また、当然ですが、バブル期も含んでいます。
グラフを見る限り、これらの時期の好調なパフォーマンスが平均を引き上げているのです。ですから、年6.6%という収益率は、今ではちょっと期待しづらいと考えた方がいいでしょう。
ですから、最近のパフォーマンスだけで考えると、平均はそこまで良くはありません。もちろんプラスではあるのですけどね。何とかプラスになっているというイメージです。
インフレがあるので、実質で見るとマイナスのケースもありそう
もう一つ指摘しないといけないのが、インフレの存在です。10年という長期投資であることを考えれば、インフレ率を考慮しないで増えた減ったと話しても意味はありませんよね。
ちょっと難しい言葉で言うと、実質で見ないといけないわけです。
2000年以前は、現在とは比べ物にならないほどインフレ率が高かったのはよく知られています。世界経済のネタ帳というサイトによると、1980年台から1990年台前半のインフレ率は、以下のような感じでした。
- 1980年:7.81%
- 1981年:4.92%
- 1982年:2.74%
- 1983年:1.90%
- 1984年:2.26%
- 1985年:2.03%
- 1986年:0.60%
- 1987年:0.13%
- 1988年:0.68%
- 1989年:2.27%
- 1990年:3.08%
- 1991年:3.25%
- 1992年:1.76%
- 1993年:1.24%
- 1994年:0.70%
- 1995年:-0.13%
この程度のインフレがあったので、実質で見たらマイナスの年も当然あったと考えられます。これを言わないのは、ちょっとずるいかな。
まあ、名目と実質の話をしだすと、ちょっと難しくなりますからね。イザという、どちらかと言うと初心者向けの媒体では、避けたかったのかもしれません。
安定しているのは間違いない
厳密に考えるなら、この2点は無視できない点でしょう。
まあそれでも、長期で分散投資をすれば損をしなかったと言うのは、事実といえば事実です。これからリスクを取って投資をしようという人には、心強い結果とは言えそうですね。
安定した運用成績が残せるのは間違いなさそうです。
全部25%ずつ買うのが最良の選択なのか?
この投資方法で一つ気になるのが、すべて25%ずつ投資するのがベストチョイスなのかどうかという点です。また、外国債券を組み込むかどうかは、判断が分かれそうです。
目標が無いと割合は決まらない
真面目にポートフォリオを考えるなら、どの程度のリターンを希望してどの程度のリスクが取れるのか詰めないといけません。積極的に増やしたいのか、安全性重視で行くのかで、組み合わせが変わってくるのです。
具体的な目標となる数字があれば、数学的にベストな組み合わせを決めることができます。積極的に増やしたければ、国内株式と外国株式を増やし、国内債券を減らすということになるでしょう。
外国債券はハイリスク・ローリターン
初心者向けの記事の中では、外国債券を入れて分散投資をすることを勧める人が多いようです。でも、外国債券を入れても、あまり意味はないという人もいます。
外国債券を入れるとリターンが下がるにもかかわらず、リスクの低減効果が無いというのです。細かい説明は難しいので避けますが、為替の変動を考慮すると、外国債券に大きなメリットはありません。
そうなってくると、日本株と外国株、あとは国内債券で運用すればいいことになります。日本株と外国株は投資信託で買い、国内債券は個人向け国債を選ぶのが一般的でしょう。
ただ、国内債券で資産を持つのは、低金利の時代には、銀行預金などで持つのと大差がありません。そうなってくると、日本株と外国株の投資信託と銀行預金のような組み合わせでもいいかもしれません。
まあ、このあたりは、あくまで金利が低い時期に限った話ですけどね。金利が上がれば、個人向け国債の変動10年と銀行の普通預金で金利に大差がないなんて、絶対にありえない話ですから。
生命保険だけはダメ
ちなみに、国内債券のかわりに貯蓄型の生命保険を使う人もいるかもしれません。貯蓄型の生命保険というのは、養老保険や学資保険、終身保険、個人年金保険などのことですね。
でも、これは、絶対にやめたほうがいいでしょう。この手の保険は、途中で現金化すると元本割れの可能性が大きいですから。
貯蓄型の生命保険を選ぶなら、銀行の普通預金の方がよっぽどマシです。
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まずは確定拠出年金(個人型)を検討しよう
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