高金利の外貨建て債券や、外国債に投資する投資信託、外貨預金などに興味をもっている人もいるでしょう。日本円建ての債券などと比べると、金利が遥かに高いですからね。
でも、理論的には、これらの金融商品は円建て債券と比べて、特に有利というわけではありません。しかも、為替リスクはついて回ります。つまり、ハイリスク・ローリターンの金融商品なのです。
これらの金融商品に投資するのは、個人の自由です。でも、この辺の事情をわかった上で投資するべきでしょう。
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外債や外貨預金に興味を持つ人もいるでしょう
ユーロの問題で最近は多少下火になってきたようですが、少し前まで外貨建ての外国債券への投資が流行っていました。それでも、いまだに興味を持って、外債の投資をする人もいます。
また、直接外国債券を買わなくても、投資信託を通して買っていた人も多いでしょう。 あるいは、高金利の通貨で外貨預金をした人もいるかもしれません。
外国の債券や外貨預金が人気だった理由は簡単です。日本国債などに比べて、利回りが圧倒的に良いのです。
(2019年1月追記:2012年1月ころの話です。ただ、最近でも、状況はそれほど大きくは変わらないでしょう。トルコリラの暴落のような事がありましたが、外国債券や、その関連商品に興味を持つ人は根強くいます。)
多くの人が外国債券を有利だと思っている
外国債券や外貨預金に興味を持つ人が多いのは、なぜでしょうか。
おそらくその理由は簡単でしょう。多くの人が、為替リスクを考慮しても、外国債券は得であると判断したのです。
そうでなければ、わざわざ外国債券なんて買ったりはしませんよね。そんな得体のしれないものを買うよりも、おとなしく銀行預金でもしているはずです。
実際、5%とか10といった金利を見れば、有利だと思わないほうがおかしいでしょう。外貨建てという部分に不安を覚えて躊躇する人もいるでしょうが、資産運用に興味を持っている人ならかなりの人が興味を持つはずです。
投資しないまでも、どんなものか少し調べるくらいのことはするはずです。
外国債券や外貨預金は有利なのか?
さて、この一見有利そうに見える外国債券や外貨建て預金は、本当に有利なのでしょうか。為替リスクをとってまで投資するのに値するのでしょうか。
実は、理論上は、外国の債券は日本の債券と比べて別段有利では無いと考えられています。日本以外の先進国の国債を買うくらいなら、日本国債を買ったほうが、為替リスクが無いぶん得なのです。
もっとも最近は、日本国債を買うのも大変みたいですけどね。日銀と金融機関が買ってしまうので、庶民はなかなか手に入れられないようです。
せいぜい個人向け国債が買えるくらいでしょうか。
数パーセントも金利が違うのに、なぜ外債は有利ではない
それでは、外国債券は、なぜ有利と言えないのでしょうか。日本国債と数パーセントも金利が違うのに、有利でないと言われても、ちょっと納得しづらいですよね。
外貨預金や外債が日本国債などと比べて有利とは言えない原因は、外国為替があるからです。2つの通貨の間で金利に差が有る場合、為替は金利差を生める方向に動くのです。
例えば、金利で年3%日本円より有利でも、3%円高に動くことにより相殺してしまうイメージです。1 つまり、高金利の通貨はその通貨でみると高金利ですが、日本円でみると特に高金利とは言えないのです。
ですから、一見有利な外国の債券ですが、そのメリットは為替の変動でなくなってしまうわけです。 外国債券の金利は、為替の変動まで考慮すると、日本の債券の金利と変わりないことになってしまうわけです。
もちろんこれは理論上の話です。実際にはそうならないことも多いです。
ただ、金利が高い通貨の債券を買ったり、その通貨で預金したりする事は、必ずしも有利ではないと覚えておいたほうが良いでしょう。 理論値以上に為替が動き、日本国債を買うより損をすることだって珍しくないわけですし。
もっと言ってしまうと、為替の変動があったり、高い手数料がかかる分だけ、外債や外貨預金は不利であるとも言えます。ということで、日本国内で生活する人は、外債の購入や外貨預金の比率はそれほど増やさないほうがよさそうです。
外貨預金はさらに不利
付け加えると、外貨預金は外債などと比べても、明らかに不利な商品です。ですから、手を出さない事をおすすめします。
外貨預金が不利なのは、外貨預金の金利を見れば明らかです。外国債券や外貨建てMMF などと比べて、明らかに低い金利が設定されています。
特に、メガバンクの金利は低いようですね。円建ての普通預金や定期預金の金利が低いように、外貨預金でも金利が低いようです。
何もしなくても預金があつまるので、完全に預金者を舐めている感じですね。
補足:タイトルで「外貨建ての外国債券」と書いている理由
少し補足をしておきます。
このページのタイトルでは、わざわざ、外貨建ての外国債券という書き方をしています。これには理由があります。
外国債券には、外貨建てのものだけではなく、円建ての債券も有るのです。外国の企業などが、わざわざ円建てで債券を発行するわけですね。
円建ての外国債券の金利は、実は、国内債券の金利と大差はありません。上に書いたように、為替の変動まで考慮すれば、国内債券と外国債券には差がないからです。
このことは、上に書いたことが正しい、一つの証拠になるでしょう。つまり、外国為替は金利差を打ち消す方向に動くので、一見高金利に見えても、実は有利ではないのです。
- 厳密に言うと、これだと若干円建ての方が有利ですけどね。 [↩]
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