みずほ証券の店頭で、「短期ハイイールド債券ファンド(ヘッジあり)」という投資信託のパンフレットを見つけました。日本の投信には、なぜか愛称が付いているものが多く、この投信の場合ヴィンテージという愛称が付いているのだそうです。
そのファンドの資料が興味深かったので、簡単にご紹介したいと思います。頑張って作った資料のようで、これを見るとこの投信を買いたくなる人も多いだろうと思うのです。
ちなみに、私自身はこの投信を特別おすすめするわけではありません。手数料も高すぎますし、リスク分散音意味でも、このファンド中心で運用とは行かないでしょう。仮に買うとしても、最大でも金融資産の数%程度と言う感じだと思います。また、別のページでも書きますが、手数料が理不尽な感じもあるんですよね。
今回の注目ポイントは投信自体ではなく、あくまでもそのパンフレットです。
Contents
どんな投資信託なのか
最初に、どんな性格の投資信託なのか、見てみましょう。
まず、名前からわかるように、ハイイールド債券に投資するファンドです。ハイイールド債券というのは、簡単に言うと、高利回りの債券のことを言います。高利回りと言う事は、逆に言うと、発行体に信頼がないと言う事でもあります。つまり、お金が戻ってこない可能性も高い債券に投資するわけです。
ちなみにハイイールド債は、ジャンク債などとも呼ばれる事があります。ジャンクというのは、ガラクタの事ですね。ジャンクと言うと印象が悪いので、商品名にするときにはハイイールドという名称を使うのでしょう。
ところで、このファンドの愛称は「ヴィンテージ」であると上にも書きました。でも、ガラクタに投資するのがヴィンテージというのも、ちょっと無理があるような気がしますね。余談ですけど。
名称にある「短期」というのは、この場合は、償還までの日数が比較的短い債券に投資すると言う意味で使っているようです。金融用語で短期と言うと、1年未満を指す事が多いはずです。このファンドの場合は、そういう意味ではないようですね。
最後に、為替ヘッジありというのは、金融工学上の手法を使って、為替の変動を小さくすると言う意味です。為替のリスクが取り除けると考えられます。
以上が、このファンドの大体の特徴です。まとめると次のようになります。
・ 債券の償還までの期間が比較的短い
・ 為替ヘッジをしているので、為替に対するリスクは小さい
販売資料は現在の状況をもとに作られているから注意
さて、この投資信託は、作られてから間もない投信です。この文章を書いているのは2012年の12月ですが、ファンドが設定されたのは同年の11月1日なのです。実は、このことが、この投資信託を非常に魅力的に見せています。
というのも、投資信託は設定されるときの経済状況を考慮して設定されるからです。例えばBRICsがブームの時には、中国株の投信がたくさん設定されていました。
確かに資料を読むと、短期ハイイールド債はかなり良い商品に見えます。リスクに対してリターンが大きいように見えるのです。まさに今の時代を考慮した商品と言えそうです。
しかしながら、投資信託は一般的に長期で持つものです。ですから、過去数年の状況が良かったというだけで判断するのは早計でしょう。
まあ、はやり物を求めて頻繁に売買する人もいるようですけどね。そうなったらそうなったで、金融機関の思う壺です。この手の投信には、高い販売手数料が設定されていますから。買い替えた分だけ販売会社に手数料が入ってくる仕組みになっています。
投信販売に都合の良い情報が見事に整理されている
調子が良い金融商品や注目されている市場を中心に投信が設定されるのは、このファンドに限った話ではありません。他のファンドでも同じような事がいえるでしょう。
このファンドのパンフレットが優れているのは、メリットの部分を上手く強調できているという点にあります。パンフレットをざっと読むと、比較的ローリスクなのに比較的ハイりータンで、欠点なんて全くない投信に思えてしまいます。
しかし、実際はそんなことはありません。かなりリスクがある商品ですから、大きく損をする可能性だって小さくはありません。そんな可能性が全くないようにすら感じられる見事な資料になっているのです。
実際、この資料に隠されているデメリットの部分も数多く存在します。メリットの部分も良い所取りの装飾されているもののようです。
しかしそういう部分は、ある程度の知識がない人だとその事実は見抜けないでしょう。そのやり方が、かなり上手いのです。これを買いたくなる人がいても、不思議ではありません。もちろん、資料には嘘は書いていないのだと思いますよ。都合の良いところだけを書いているのだと思ってください。
ちょっと皮肉っぽい書き方をしましたが、こういう資料を作る事を批判しているわけではありません。営業用のパンフレットですから、悪いところを隠し良いところを強調するのは当然の行為だからです。
むしろ、こんなふうに魅力的に見える試料を作った手腕に感服しました。
実際はどうかと言うと
実際にこの投信が良いのかどうかを判断ために、類似する投信の過去のパフォーマンスを調べてみましょう。ちょっと調べてみたところ、ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド(毎月分配型)という投資信託が見つかりました。
■ ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド(毎月分配型)
この資料を見るとわかるように、分配金を再投資して運用したとしても、8年かけてやっと3割程度増やせたにすぎません。リスクの大きさを考えると、満足できるリターンとは言えないでしょう。スーパーな投信と言う印象とはかけ離れたものがあります。
ちなみに、この投信は為替ヘッジがなかったり「短期」に限定しないなどの違いはあります。それでも、ある程度長い期間で見ると、広告どうりに行かない感じはわかっていただけると思います。
パンフレットは広告なのだと改めて認識しましょう
パンフレットはあくまで販売する為の資料です。もっというと、広告です。ですから、これを頼りに投信を選ぶと、おかしなことになりそうです。
先ほども書きましたが、良いことしか書かれていませんからね。
さらに言うと、きれいなパンフレットを作ると言う事は、金融機関が商品を売るためにお金をかけているということでもあります。金融機関が売りたい商品なのです。
金融機関が売りたい商品というのは、私たちが買うべき商品ではありません。というのも、金融機関は手数料が高くて儲けが大きい商品を売りたいからです。実際、この投信でも2.10%の販売手数料と1.634%という信託報酬がかかっています。この手数料は決して安いものではありません。
こうした穿った見方を嫌う人もいると思います。しかし、顧客から手数料を取るのが投信という商品の基本である以上、頭の隅には入れておくべきでしょう。
投資信託で運用するなら、どの証券会社を選ぶ?
投資信託を使って運用する場合、意外と金融機関選びが大事です。取り扱う投資信託の本数が金融機関によって違いますし、積立ての仕様も金融機関によって大きく異なるからです。
おすすめはSBI証券です。買い付け可能な投資信託の本数が多く、少額から積み立てることができる証券会社です。
また、顧客満足度が高いことでも知られています。

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