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高金利りの外債はすごく有利?│ そんなアホな

外貨建ての債券は、金利がとても高いことも珍しくありません。さて、これらの債券は、見た目の金利通りの有利な商品なのでしょうか。

でも、本当に有利なら、金融機関はもっと外貨建ての債券で運用するはずですよね。そう考えると、実は、あまり有利とは言えないのかもしれません。

もちろん、リスクを小さくするために、保守的な運用をしているというのも有るでしょう。でも、それだけの理由でもなさそうです。

高金利の外債は有利に見える

今回は、ちょっと刺激的なタイトルをつけました。でも、これから書くことを考えると、本当にそうだと思います。

高金利の債券を見ると、買いたくなる人もいるでしょう。誰が見たって、有利な商品に見えますよね。

でも、そんなに単純ではないという事を理解しておきましょう。高金利の債券が高金利なのには、実は理由が有るのです。

自分の資産を守るためにも、必要な知識です。

同じ発行体の債券なのに金利がぜんぜん違う

まず、このことについて書こうと思った経緯から。

某証券会社で見つけた一枚のチラシに、SBAB銀行ABというところの債券を紹介するものがありました。スウェーデンの旧住宅金融公社みたいですね。

この売り出しの仮条件が非常に興味深かったのです。同じ発行体(債券を発行する組織)が出している債券なのに、金利が全然違ったのです。

一つの銀行が3通貨建てで債券を発行

チラシには、具体的には、次のような内容が書かれていました。

まずこの銀行では、3つの通貨で債券を発行するようです。具体的には、円建て、豪ドル建て、南アフリカランド建ての3つです。

満期は微妙に違っていて、円建てだけが5年で、その他の2通貨建ての債券は4年となっています。

ここまでは、それほど不思議な話はありませんね。3つの通貨で債券を発行するというのは、ちょっと珍しいと思いますが。

同じ発行体なのに金利がぜんぜん違う

ここからが興味深いところです。

この3つの債券の仮条件として提示された利率が通貨によってぜんぜん違うのです。具体的には、次のようになっています。

  • 円建て:年0.50%から1.20%
  • 豪ドル建て:年3.70%から5.70%
  • 南アフリカランド建て:年6.20%から8.20%

これって、とても不思議な事だと思いませんか?

債券を発行しているところが同じということは、発行体の信用はどの通貨建てでも同じはずです。それなのに、利率がこれだけ違うのです。

最大で10倍以上の開きがあります。

為替のリスクがあるから、差が出ると思った人もいるかもしれません。でも、それも変な話なんですよね。

というのも、スウェーデンの公社の債券ですから、どの通貨建てでも為替リスクが発生するからです。

実は、為替リスクというのは、それほど的外れではありません。でも、そんなに単純でもないのです。

円建ての債券は不利なのか?

これだけ見ると、円建債を買う人なんていないように思いますよね。利回りが10倍も違うのですから。

でも冷静に考えると、円建てだけが投資家に不利なんて事はありえません。本当に円建てが不利だったら、円建ての債券を買う人なんていなくなってしまいますからね。

スウェーデンの公社にしてみたら、どの通貨建てでも、それなりに売れると思っているはずなのです。そうでなければ、一番売れる一種類だけで十分でしょう。

買う人がいないのなら、円建ての債券なんて、最初から売り出さなければいいのです。

ということは、逆に考えると、円建ての債券は、他の高利率の債券と比べて、特に不利ではないことになります。少なくとも売り出す側は、そのように考えているはずですよね。

繰り返しますが、一見有利そうに見える豪ドル建てやランド建ての債券ですが、別に有利なわけではないのです。

なぜ金利が高いのか?

それではなぜ豪ドル建てやランド建ての債券は、金利が高いのでしょうか?その理由は為替の性質にあります。

実は外国為替というのは、金利差を生める方向に動くと考えられています。つまり、例えば、日本の10年物利付国債とオーストリアの10年物利付国債では、金利がかなり違うはずです。

でも、外国為替の変動があるので、同じ通貨建てで見れば、結局同程度のリターンになると考えられるわけです。

このような性質があるので、豪ドルやランド建て債券は、日本円建ての債券と比べて、金利を高くしないといけないのです。日本円建てに比べて高金利にして初めて、同じような条件であると投資家に認識されるわけです。

もちろん、為替実際にどう動くかは、将来振り返ってみるまではわかりません。予想と逆に動いて、金利に加え為替差益を得られる可能性だって無くはありません。

ただ、過去のデータや理論をベースに考えると、これだけの金利差をつけて、やっと有利不利がなくなるわけです。少なくとも、発行体や市場は、そのように考えています。

他の金融商品(投資信託など )でも同じ事

ところで、一部の通貨の債券の利率が高くなるのは、この例に限った話ではありません。

証券会社に行くと、ランド建てとか豪ドル建ての金融商品は、積極的にすすめられるものの一つのようです。また銀行に行くと、金利が高い通貨の外貨預金を勧められたりもします。

あるいは、外債に投資する投資信託をすすめられる事も多いようです。

しかし、これらの金融商品のカラクリは、今回の債券と同じ事です。一見有利そうでも、実は別段有利ではないのです。

外貨を使った投資は、手数料がかかるぶんだけ、歩が悪い可能性すらあります。投資するときには、注意するようにしてください。

金融機関の店頭で、ブラジル・レアルとか豪ドルとか南アフリカランドとか言い出したら、この手の商品を売ろうとしているサインです。

メガバンクの外貨預金は特に注意

ちなみに、この手の金融商品の中でも、外貨預金は特に注意が必要です。メガバンクの外貨預金は特にひどいですね。

というのも、外貨預金の金利は、かなり低めに設定されている事が多いのです。

日本円建ての預金と比べると金利は高いので有利だと思う人もいるのかもしれません。しかし、その通貨なら本来設定しないといけない金利と比べると、金利がかなり低いのです。

このくらいの金利を付けておけば良いだろうという、銀行の思惑が透けて見えるようです。彼らだって、預金者にとって不利だという事は分かっているでしょうに。

本当に酷い話だと思います。

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