「標準的な家庭の株式投資」のページで見たように、ある程度の金融資産を持っている人は、株式投資をした方が良いでしょう。株式投資には、株式で運用する投資信託を含みます。
このページでは、この点を、さらに突き詰めてみましょう。金融資産500万円程度の家庭について考慮してみることにしましょう。
同じくらいの金融資産でも、実は、年令などによって、状況がだいぶ違ったりするのです。
Contents
株式投資はどの程度儲かるの?
ここから、株式投資をするかどうかを議論していきます。その為には、株式投資というのがどの程度儲かるのか認識しておく事は重要なことでしょう。
どの程度儲かるのかがわからなければ、株式投資を使った資産運用の合理性を考える事はできません。
1年で6%程度増えると考えていいでしょう
株式投資がどの程度儲かるかについては、一つの答えがあります。
投資の専門家は、現状では、1年に6%程度株価が上がると考えているようです。正確に言うと、「6%+インフレ率」という感じでしょうか。
ですから、実質ベースで考えると、6%というのを一つの基準と考えていいでしょう。
もちろん、株式投資は景気や国際情勢などの影響を受けます。ですから、毎年確実に6%儲かるということではありません。
長期間の平均で考えると、この程度になると考えてい人が多いということですね。まあ、最近の日本の株価を見てみると、6%というのはにわかには信じられないでしょうけど。
(2019年2月追記:最初に書いた時点では、日本株は低迷していました。民主党政権時代かな。その後、アベノミクスでかなり株価は上がっていますね。)
ちなみに、ここで言う投資の専門家とは、年金基金や生保などの運用者の事を指します。例えば、日本の公的な年金を運用しているGPIFという機関は、国内株式のリターンを5.3%と考えています。
ある家庭の金融資産を500万円と想定してみましょう
さてこの文章では、数百万円以上の金融資産を持つ家庭について考えています。というのも、前のページでも紹介したように、日本の2人以上世帯の金融資産の中央値が420万円だからです。
まあ、平均的な家庭を対象にしようという事ですね。あまりに金融資産が少ない場合は、リスク資産で運用する意味は小さいですから。
しかし、数百万円という漠然とした額では、ちょっと議論しにくいですね。そこで、金融資産が500万円ある家庭を想定して、話を進めていくことにしましょう。
統計の中央値の420万円にも近いですし、いい線だと思います。キリもいいですしね。
金融資産500万円だとどの程度の額を株式投資に使う?
500万円の金融資産を持つ家庭では、どの程度の額を株式投資に使えるでしょうか?実はこの金額は、家庭によってかなりことなるでしょう。
常識的に考えると、緊急のときのために、100万円程度は預貯金が欲しいはずです。この100万円は、どの家庭でも共通と考えていいでしょう。
そうすると、最大で残りの400万円程度は株式投資に使えます。
子供の学費とか、自動車の買い替えなど、使用目的が決まったお金がある場合もあるでしょう。そんな家庭では、株式投資に使える額はもっと小さくなります。
近い将来に使用目的が決まった支出がある場合は、株式投資どころではありませんからね。個人向け国債などを使って、安全に運用してください。
目いっぱいで株式投資ができる場合は
さて、この400万円を株式投資で運用する事は、人生にとってどんな意味を持つのでしょうか?
投資について考えるときには、年齢を意識する事が肝心です。というのも、資産運用では時間が味方になるからです。長い期間運用できる方が、大きく増やせるわけですね。
ですから、ある程度は年代別に考えた方がいいのです。20年運用できる人と10年しか運用できない人では大違いですから。
45歳の人なら1,210万円まで増やす事が出来る
まずは、比較的若い世帯について考えてみましょう。具体的には45歳の人を考えることにします。
45歳を若いというのは、少し抵抗があるかもしれません。しかしそれでも、年金の受給開始までと考えると20年あります。
20年の運用期間があれば、十分に長期だと言っていいでしょう。
この40歳の人が、元本400万円を6%で20年運用したすれば、金融資産はどうなるでしょうか。複利の効果もあるので、このケースでは、20年後には1,210万円まで増やす事が可能です。つまり、3倍以上になるわけです。
この額では老後資金としては十分とは言えません。ただ、元本の3倍まで増えると思うと、悪くない感じがしますね。
それに、45歳以降に貰う給与からさらに貯蓄をすれば、老後の準備はある程度できそうです。退職金などもあるかもしれませんし。
このように、40代の人が株式投資をする事は、それなりに意味がありそうです。もちろん、もっと若い人なら、運用期間が長くなるのでさらに有利です。
ある程度年齢が高い人はどうする?
次に、60歳代70歳代の世帯は、株式投資をどう考えるべきでしょうか?同じく400万円を株式で運用するとすると、6%のリターンとして、1年後には24万円増やす事が可能です。
この世代では、投資で増えた分は生活費として使いたい人が多いでしょう。という事は1年間の運用で、毎年平均24万円を余分に生活費として使える事になります。
つまり、月々2万円使えるお金が増えるわけです。月2万円増えれば、多少の足しにはなりますね。
もちろん株式投資なので、この額にはかなりばらつきがあるでしょう。上手く行くかどうかで、額がぜんぜん変わります。
大きくマイナスになる事も、可能性としては十分にあります。そうなると、生活資金の足しにするどころの話では無くなってしまいますね。
ここで問題なのは、月々の2万円の生活費を増やす為に、元本を大きく減らすリスクが取れるかどうかです。全額株式に投資しているということは、元本が2割とか3割減ってしまう可能性だってあります。
分散したポートフォリオを作れていない場合は、さらに大きく資産を減らす可能性すらあります。極端な場合は投資先の会社が倒産して、株式が無価値になることすらあるわけです。
ということで、高齢世帯の場合は、数百万円程度の金融資産しか持っていないのなら株式投資はやめておいたほうがいいのでしょうね。それが常識的な線だとおもいます。
虎の子の500万円は、可能な限り減らさずに持っていたいものです。リスク資産で運用できるのは、ある程度の余裕資金だけです。
その人が受け取る年金などの状況にもよりますけどね。仮に株式投資をするとしても、金額はそうとう限定すべきでしょう。
富裕層だったら話はぜんぜん違う
ちなみに、富裕層だと、話は全然違います。極端な話、ある程度の分散さえできていれば、全額を株式で運用してもいいでしょう。
10億円ある人が運用に失敗して8億円にまで資産を減らしても、それで生活が行き詰まることは無いですからね。率直に言って、好きにすれば良いのではないかと思います。
もちろん、この資産の相続を狙っている人にとっては、大きな問題でしょうけどね。
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タグ: GPIF, 年金基金, 標準的な家庭の株式投資, 生保会社





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