金融商品の手数料は、かなり高くつく事があります。特に、保険とか投資信託のように、商品にする為に多くの人が携わる商品はかなり高い手数料を取られます。
もちろん、その結果、私たちが儲ける事が出来るのなら全く問題はありません。しかし一般的には、手数料の分だけ儲けが小さくなるのが現実です。
ところで、具体的にどの程度の手数料を取られているのでしょうか?
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投資信託の手数料
投資信託の場合は、実はかなりたくさんの手数料がかかっています。例えば、みずほ証券の投資信託の買い付け額ランキングで上位の某ファンドには、次のような手数料がかかるようです。

その中でも覚えておきたいのが、販売手数料と信託報酬の2つの手数料です。上の画像では、販売手数料は購入時手数料という名前になっていますね。
販売手数料とは
販売手数料というのは、その名前の通り、投資信託を買い付けたときにかかる手数料です。つまり、最初に1回支払うタイプの手数料です。
この手数料は、販売する金融機関の取り分となります。みずほ銀行で買えばみずほ銀行の、野村證券で買えば野村證券の売上となるわけです。
ちなみに 、販売手数料は全くかからないこともあります。 大雑把に言うと、投資額に対して3%程度かかるのが一般的でしょうか。
今回例として挙げているみずほ銀行の投資信託も、販売手数料は税抜きで3%です。

つまり、販売手数料がかかる投資信託かどうかで、確実に3%の差がでるわけです。100万円投資した場合は3万円違います。この差はかなり大きいですね。
最近は、以前と比べると、投資信託の手数料が注目されています。そのために、販売手数料も下がる傾向にあるようです。
また、同じ投資信託でも、金融機関によって販売手数料が異なることがあります。投資信託ごとにある程度の幅があり、その中で金融機関が自由に決められるからです。
信託報酬とは
もう一方の信託報酬は、日々の運用に対する手数料です。参考にしているみずほ銀行で扱っている投資信託だと、信託報酬は「純資産総額に対して年率1.788%程度(税込)」とあります。

運用する金融資産や、運用方法などにより、かなりのバラつきがあります。例えば、国内株式のアクティブファンド1 だと年2%台の信託報酬がかかるのも珍しくありません。
それに対して、国内株式のインデックスファンド2 だと、年1.0%を切ることも珍しくありません。このように同じ資産を運用する場合でも、手数料が大きく違うことがあるのです。
100万円投資していて、毎年1ポイントの差があるとすると、毎年1万円以上も手数料に差が出ることになります。これは、長期的には、大きな差になる可能性もあります。
具体的な金額にすると手数料の高さが分かる
このようにパーセントを使って書くと、いまひとつ金額がピンときません。あるいは、3%とか2%なら、それほど手数料が高くないと感じる人もいるでしょう。
しかし、上で書いたように、これを金額を使って書き直してみると手数料の大きさが実感できます。きっと、違った印象を持つはずです。
そこで今度は、運用資産を500万円で投資信託を買った場合を考えてみることにしましょう。長期で運用した場合の手数料も知りたいので、販売手数料料は3%、信託報酬は2%として、10年間運用するものとします。
まず、投資信託を買ったときに、500万円の3%の15万円という手数料がかかります。つまり、投資信託を買うだけでこれだけの手数料がかかるのです。
投資信託を買うだけで15万円の手数料って、かなりバカバカしいですよね。
そして、次に毎年の信託報酬です。投資信託の残高は運用次第で上下します。信託報酬もそれに合わせて変動するので、正確な金額はわかりません。
とりあえず、ここでは、運用しても残高が変わらなかったとしましょう。ずっと500万円のままでした。
この時の信託報酬は、500万円の2%が毎年かかることになります。つまり、信託報酬は毎年10万円取られるわけです。
この投資を10年間続けるのですから、信託報酬の総額は100万円にもなります。長期で見ると、運用する額の2割も取られるわけです。3
つまり、販売手数料と信託報酬を合わせると、10年間で115万円も取られるわけです。
常識的に考えて、これだけの手数料を取られたら、投資がうまく行く可能性は大きくないでしょう。少なくとも、手数料の分だけリターンは小さくなっているはずですよね。
手数料が安い投資信託を買ったらどうなる
それでは、手数料が安い投資信託を買ったらどうなるでしょうか。例えば、販売手数料がゼロ4 で信託報酬が年1%としましょう。
この場合の手数料は、毎年500万円の1%の5万円です。これを10年運用したら、50万円の手数料がかかることになります。
つまり、10年間で65万円も手数料に差が出るわけです。投資信託を変えるだけで、これだけの差がでるのです。
頑張って探すと、信託報酬がさらに安い投資信託を見つけることもできるでしょう。投資信託の手数料は、こだわって探す価値があることが分かっていただけるのでは無いでしょうか。
参考:みずほ銀行で人気の投資信託は手数料がとても高い
今回参考にしているみずほ銀行で取り扱っている某投資信託は、信託報酬が税込み3.24%、信託報酬が 年率1.788% でした。

この投資信託は外国の債券に投資する投資信託です。債券に投資する投資信託と考えると、この手数料はべらぼうに高いという印象です。
投資信託についてある程度勉強しているい人なら、この数字を見た瞬間に購入の候補から外すでしょう。
でも、実際問題として、この投資信託がみずほ銀行では売れているわけです。顧客が自発的に選ぶとも思えませんから、おそらく行員が勧めているのでしょうね。
もしそうだとしたら、みずほ銀行の営業姿勢には疑問を持たざるを得ません。少なくとも、顧客の利益よりは、自分たちの手数料収入を優先していると言われても仕方が無いでしょう。
もちろん、調べもしないで、こんな投資信託を買う人も悪いのですけどね。
高い手数料を取られている事を気づかせない仕組み
さて、これだけ高い手数料を取られて、なぜ投資家は文句を言わないのでしょうか?
もちろん、手数料の事を納得した上で買っているという人もいるでしょう。でも、多くの人はそうではないと思います。
おそらく、多くの人が手数料を取られている事すら気づいていような気がします。意識して払っているのは、販売手数料だけというケースも少なくはないはずです。
上で紹介した2つの手数料のうち、販売手数料は購入時に運用資金とは別に取られるお金です。ですから、販売手数料を取られている事は多くの人が認識しています。
まあ、買った後に明細を見ない人だと、それすら気づいていない可能性もありますけどね。一般的には気づくはずです。
しかし、信託報酬は運用資金の中からかってに引かれるお金です。追加で徴収されるわけではないのです。
ですから、そのお金を引かれても、投資家は気づかないのです。知らないうちに抜かれていたという感覚に近いでしょう。
もちろんその説明は、目論見書などには書かれているんですよ。でも、そんなものは読まないという人も少なくないはずです。
そうなると、やっぱり、知らないうちに抜かれていたという感覚が近いと思うのです。
手数料が高い投資信託のパフォーマンスがいいわけではない
もちろん、手数料が高い投資信託の方がパフォーマンスが良ければ、多少の手数料は容認されるべきでしょ。しかし、過去の実績を見る限り、手数料が高いアクティブ運用の投資信託だからもうかるということは無いようです。
手数料が高い分、しっかりとパフォーマンスを受けているようですね。ですから、手数料が高い投資信託を積極的に選ぶ理由は、あまり無いようなのです。
もちろん、アクティブファンドの場合は、投資信託ごとにパフォーマンスにがかなりの差がでることがあります。運用がうまく言った場合は、インデックスファンドよりもかなりもうかるでしょう。
しかし、投資をする前の段階では、どの投資信託が将来上がるかはわかりません。ですから、堅実にやるのであれば、手数料にこだわった方がいいでしょう。
こっそり抜かれる手数料にご用心
このように、投資家が気づきにくい手数料が発生しているのは、投資信託だけではありません。金融の世界では、投資家に手数料を気づかせないような工夫は頻繁に行われているのです。
投資信託以外では、例えば、生命保険などでも似たような事をやっています。生命保険会社は掛け金の中から自分の取り分を最初に抜くのです。
たちが悪い事に、生命保険ではどれだけのお金が抜かれているのか私たちには分かりません。一部の商品では、掛け金の半分近くが手数料に消える事もあるといいます。
こういう状況ですから、私たちはどういう手数料がかかって、金融機関がどれだけ儲けているのか常にチェックする事が必要です。金融機関が儲かる商品と言うのは、私たちにとって不利な商品なのですから。
- アクティブファンド:ファンドマネージャーと呼ばれる人が購入する株式を選び、積極的に大きなリターンを目指す投資信託のこと [↩]
- インデックスファンド:TOPIXや日経平均株価指数などのインデックスに連動する投資信託 [↩]
- まあ、毎年2%で10年なので、残高が変化しなければ当然なのですが。 [↩]
- 販売手数料がかからない投資信託を「ノーロードファンド」と言います。 [↩]
投資信託で運用するなら、どの証券会社を選ぶ?
投資信託を使って運用する場合、意外と金融機関選びが大事です。取り扱う投資信託の本数が金融機関によって違いますし、積立ての仕様も金融機関によって大きく異なるからです。
おすすめはSBI証券です。買い付け可能な投資信託の本数が多く、少額から積み立てることができる証券会社です。
また、顧客満足度が高いことでも知られています。

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