時々、「日本の国債が暴落する」と主張する人がいます。
実際にどうだったかと言うと、いつまで経ってもそんな兆候はみられないのですけどね。ですから、さすがに、信じる人も減ってきたような印象があります。
国債暴落の現実性はさておき、本当に暴落すると何が起こるのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。
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国債が暴落すると言われ続けていますが
ここ数年(あるいは数十年)、日本国債の暴落の可能性が指摘されています。特に最近、暴落について言及する人が増えてきたような気がします。
(2019年2月追記:あまりに暴落予想が当たらないので、さすがに暴落論者は減ってきたように感じます。まあ、ちょっとでも景気が悪くなったら、また大量発生するのでしょうけどね。)
国債が暴落した場合、経済的には様々な影響が考えられます。一番酷い表現だと、日本国債がデフォルトに成り、日本経済は立ち直れないほどのダメージを受けるという感じでしょうか。
もう少しリアルなところで言うと、例えば、銀行が大赤字になる可能性を指摘する人もいます。銀行は資産の多くを国債で持っていますから、時価ベースで考えると大きな赤字になるでしょう。
このような、比較的大きな話はされることが多いのですが、個人の資産運用への影響については、あまり語られることがありません。個人への影響に限った場合、どんな影響があるのでしょうか?
そこで金融商品ごと、私たちの資産運用にどんな影響があるのか、ちょっと考えてみましょう。
国債の暴落って何?
本題に入る前に、ちょっと疑問があります。国債暴落って、どうなる事なのでしょうか。
新聞記事などを見る限り、暴落の定義はあいまいです。
一般に、国債価格の下落は、金利が上昇すると起こります。ですから、金利が上がり国債の価格が下落するだけでも、その幅がある程度大きければ、暴落と言えなくもありません。
あるいは、日本国債を投げ売りするような状態になることをイメージしている人もいるでしょう。極端な例だと、デフォルトですね。
ただ、現実問題としては、国債がデフォルトするような事態は考えにくいでしょう。そこで、ここでは、国債の暴落を「長期金利が数パーセント程度上昇すること」と考えておきましょう。
金融商品別に考えてみよう
さて、長期金利が数パーセント上がり国債が暴落すると、金融商品はどのような影響を受けるのでしょうか。ここに検証してみましょう。
定期預金への影響は限定的
長期金利が上がるような状況だと、解約しづらい金融商品は基本的に不利だと思っていいでしょう。ということは、定期預金は普通預金よりは不利だと考えられます。
ただ、日本の定期預金は、かなり解約がしやすいので、影響は限定的です。別の有利な金融商品に乗り換えてしまえばいいのです。
銀行の倒産が怖い外貨預金
日本の国債がどうなろうと、外国の預金の金利には影響はないはずです。その意味では、外貨預金に対する心配はそれほど大きくないと思えるかもしれません。
しかしながら、日本の銀行に外貨預金の口座がある場合、銀行の倒産という可能性が出てきます。そして、銀行が倒産に非常に弱いのが外貨預金です。
ちなみに、これを回避するために、外貨建てMMF を使うという手もあります。
個人向け国債への影響は
国債が暴落すると、当然ですが、個人向け国債にも悪影響がありそうな気がします。しかし、よくよく考えてみると、国債暴落の影響はそれほど大きくないのかもしれません。
国債が暴落したのに、個人向け国債は影響が小さいなんて、なんだか矛盾しているように感じますね。でも、個人向け国債の大きな特徴のために国債の暴落につよいのです。
個人向け国債以外の債券の影響は?
最近は、個人向け社債というような形で、個人でも買える社債もあるようです。こういう金融商品で運用している人もいるでしょう。
あるいは、個人向け国債以外の国債を使って運用してる人もいるかもしれません。単純に金利だけを見ると、個人向け国債よりも利付国債の方が有利ですからね。
さて、個人向け国債以外の国債や社債に対する、国債暴落の影響はどうでしょうか。
実は、国債が暴落するのですから、国債にを持っている人にマイナスがあるのは当然ですよね。
具体的になにがマイナスかと言うと、償還前に売却しようと思ったときに、その売却価格が安くなります。ですから、持っている国債を売りづらくなってしまうのです。
償還まで持っていれば、基本的には、額面通りの金額が戻ってきます。しかし、国債が暴落するということは、市場の金利は上がっているわけです。
国債を売りづらいということは、それらの商品で運用できないということです。つまり、損をしていると考えて良いわけですね。
社債もだいたい同じで、償還前に売ると安くなってしまいます。また、不景気が予想されるので、発行元の企業の倒産もない話ではありません。
国債が暴落すると金利が上がるので、株価も下落する
国債が暴落した際の国内株式への影響ですが、株価は下落する可能性が大きいでしょう。
何度も書いているように、国債が暴落するということは、金利が上昇するということです。そして、金利上昇があると、株価は下落する傾向があります。
もちろん、国債が暴落すると、景気が悪化する可能性が大きいですから、それが原因で株価が下落するかもしれません。最悪の場合、企業倒産もあり得ます。
国債が暴落しても外国株式なら大丈夫
国債が暴落しても、外国株式なら問題はありません。
最近は、アメリカ株や中国株、ロシア株などを購入しやすくなっています。国債暴落が心配なら、外国株式の購入を考慮しても良いのでは無いでしょうか。
外国株式を直接買うのが難しいということであれば、外国株に投資する投資信託でもいいでしょう。
国債が暴落した時の、貯蓄型の生命保険への影響は?
国債が暴落した時の、貯蓄型の生命保険への影響はどうでしょうか。貯蓄型の生命保険というのは、養老保険や学資保険、個人年金保険などが該当します。
貯蓄型の生命保険の多くは、固定金利型です。その意味では、定期預金や債券と類似の金融商品と考えていいでしょう。
生命保険の場合は、定期預金と比べると解約しづらいですから、(個人向け国債以外の)国債や社債に近い性質があります。ということは、国債が暴落すると非常に不利だと考えられます。
国債がデフォルトするような事態に備えるなら
ここまでは、金利が数パーセント程度上昇し、国債が下落するという想定で考えて来ました。それでは、日本国債がデフォルトするような事態に備えるには、どうしたらいいのでしょうか。
ここまで見た以上の暴落が起こるケースです。
そこまでひどい状況になるとすれば、日本円という通貨の信認も揺らぐことになります。となると、日本円は円安になる可能性が大きいでしょう。また、通貨の価値が落ちるわけですから、インフレになることも考えられます。
ということは、円建ての資産は価値が落ちる可能性が大きいわけです。特に、インフレに弱い金融商品は最悪ですね。具体的には、多くの債券、定期預金、貯蓄性の高い生命保険の多くなどです。
この状況に対応するには、外貨建ての資産を持つといいでしょう。まあ、日本経済がボロボロだとなれば、外国の経済も大きな影響を受けるでしょうけどね。日本よりはマシなはずです。
外貨建ての金融資産となると、外貨預金、外国株式、外貨建てMMF などが考えられます。FXという手もありますね。
あるいは、円建ての投資信託(日本国内で通常売られている投資信託)でも、ほとんどすべてを外国株や外国債券などで持っていれば国債暴落の影響は小さくできます。
つまり、本当に日本の経済が信頼できないのなら、円建ての資産で運用してはいけないという事ですね。時々湧いてくる、日本ダメ論に乗っかる人は、参考にしてください。全くおすすめはしませんけど。
そこまでの心配はしていないけれど、多少は心配という程度でしたら、一部は外貨建ての資産で持つという程度で十分でしょう。例えば、円建ての金融資産が半分、外貨建てが半分というくらいです。
ただ、この場合は、為替リスクが発生する事を忘れてはいけません。根拠のよくわからない国債の暴落を心配するあまり、為替で大損をしたなんていう、笑えない結末になる可能性もあります。
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タグ: 国債, 国債暴落, 国債暴落の影響, 銀行, 長期金利





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