
サービス開始時には大騒ぎされたNISA ですが、実際の利用状況はどうなっているのでしょうか。個人的な感覚としては、意外と使われていないのではないかという印象を持っています。
実態はどうなっているのか、ちょっと調べてみました。
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NISA は1,000万口座
金融庁による平成28年末時点の「NISA口座の利用状況調査」によると、NISA の口座数は10,613,172口座なのだそうです。約1,000万口座ということは、日本人の10人に1人も口座を作っていないということになります。
まあ、それでも、1,000万口座あるといことなら、それなりに使われているという言い方も出来そうですね。
そもそも株式や投資信託を使うことに、強い抵抗を持っている人も多いというのが現状でしょう。そういう人は絶対に口座を作らないでしょうからね。キャンペーンの効果は、それなりにはあったと解釈して良いでしょう。
全く買い付けない人の方が多い
ただ、NISA口座の稼働状況となると、お寒い限りです。平成28年の1年間で新たに買い付けが無かった口座が6,680,215口座もあるのです。つまり平成28年には、NISA 利用者の中でも、約7割の人が1円も新規の買い付けをしなかったという事です。
これは、おそらく、口座を作った時に買い付けをしてそれでおしまいという人が多かったという事でしょうね。はっきり言って、金融機関としては、商売あがったりという感じではないでしょうか。
投資信託が一番買い付け額が大きい
金融機関にとって唯一のメリットは、買い付け額が一番多いのが投資信託だったという点です。576,369,825(単位:万円)の買い付けがあったのだとか。約6兆円の買い付けがあったということですね。ちなみにこれは、平成26年から平成28年の合算です。
なぜ投資信託の買い付けが多いと金融機関がうれしいかというと、NISA の対象になっている金融商品の中で投資信託が一番手数料が高いからです。はっきり言って、投資信託以外の金融商品が売れたところで、金融機関としてはたいしたメリットが無いのです。
金融機関の売上は総額で600憶円前後か?
どの程度の売上になるのか、ざっくりと計算してみましょう。仮に信託報酬が1%とすると、6兆円の投資信託に対する金融機関の売上は年600憶円ということになります。1年になおすと、200憶円です。
うーん、これってずいぶん小さいような。例えば、野村ホールディングスだけで1.7兆円程度の売上高があります。という事は、金融業界全体で考えると、年間200憶円、総額600億円なんてたいした金額ではありませんよね。
NISA の広告宣伝のために使った金額を考えると、もしかすると、赤字のところもあるのかもしれません。
まあ、リスク商品の間口を広げるという意味でやっていたとすれば、それなりに意味はあるのかもしれませんけどね。短期的な利益には、あまりつながっていないという印象です。
一人当たり100万円もつかっていない
ちなみに、平成26年から28年のNISA口座の全ての金融商品の買い付け額を合計すると、940,955,237(単位:万円)なのだとか。約9.4兆円という事ですね。という事は、これを口座数の1,000万でわると、90万円ということになります。
3年あると360万円までは買付が出来るはずです。ということは、買付可能な金額の4分の1程度しか買っていない事が分かります。
ただ、これは意外と買っているのだなあと感じました。なにせ、NISA の場合は、口座だけ作って全く買い付けない人もいるそうですから。
口座を作っただけで作っていない人も多い
NISA は口座を作っただけで、全く運用に使っていない人もかなり多いようです。銀行や証券会社の営業に頼まれて、口座だけ作ったという事なのでしょうか。
日本証券業協会によって行われた主要証券会社10社の調査だと、稼働口座の割合は61.0%しか無いのだそうです。稼働口座というのは、平成26年~29年の利用枠で買付があった口座という事ですね。
つまり、4割は、口座を作るだけで全く買付をしていないという事です。これってちょっと酷いですね。
NISA は思ったほど使われていない
NISA の利用実態については、およそこんな感じです。一言でまとめると、世間のイメージ程は使われていないという感じではないでしょうか。
力をいれて宣伝をした割には、あんまり使われていないという感じですかね。
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タグ: NISA





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