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短い経済記事まで使って政権批判?| バイアスがかかったニュースでは投資家は判断を誤る

時事通信が、次のような短いニュースを伝えていました。短いので、全文引用します。

量的緩和、来年から縮小=欧州も金融政策正常化―月300億ユーロで9カ月間延長

【フランクフルト時事】ユーロ圏の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)は26日の定例理事会で、来年から量的緩和政策の規模縮小に踏み切る方針を決めた。

現在月600億ユーロ(約8兆円)の資産購入額を2018年1月から300億ユーロに減らした上で、9月まで継続する。米国に続き、欧州も異例の金融緩和から正常化に向かい始め、いまだ出口の見えない日本は取り残されることになりそうだ。1

この記事を読んだ時に、時事通信の経済記事は、投資家の判断を誤らせるなあと思ってしまいました。ちょっと酷いんじゃない。

この短いニュースに政府批判の印象操作を入れるのは何故

このニュースの事実関係としてはすごく簡単で、伝えているのは2点だけです。一つ目がECB が量的緩和の規模を縮小すること、2つ目がアメリカも金融引締めの方向であること。この2つだけですね。

本来はそれだけでいいはずなのに、なぜか最後に政府批判なのか日銀批判なのか、日本の行政に対する批判が付け足されています。「いまだ出口の見えない日本は取り残されることになりそう」という部分です。

最後の1文までは、客観的な事実を伝えるだけの記事でした。おそらく、この記事を読んでいる人が求めているのもそれだけでしょう。そういう記事なのに、なぜ最後の1文が付け加えられたのでしょうか。本当に理解に苦しみます。

もちろん、社説やらコラムやらで意見を述べるのは全く問題ありません。読み手としても、個人の主観が入った記事だというのは、ある程度分かった上で読んでいるでしょうから。

でも、この記事に個人の意見を入れてくるのは、ちょっとおかしくないでしょうか。目いっぱい譲歩しても、「日本は出口戦略を考えていない」という事実関係を伝えるくらいまでですよね。「取り残される」なんて言葉を使うべきだとは思えません。

こんなバイアスがかかった記事ばかりだと思えば、時事通信の記事を信じる人は減るだけだと思うんですけどねえ。記者やらデスクやらは、そう判断しなかったのでしょうか。あるいは、記事の信頼性よりも政府批判の方が大事だったという事でしょうか。

「取り残されている」というのは出鱈目

ちなみに、「取り残されている」という印象は、率直に言って、かなり偏ったものと言わざるを得ません。

そもそも金融政策というのは、各国の経済状況に合わせて行うものだからです。早く緩和を止めた方が勝ちというようなものではありません。緩和が必要なら、緩和を続けるというだけの話です。欧州は必要性が小さくなったと判断したから、緩和の規模を縮小という話になったのです。

それに、緩和を始めたタイミングが日本と欧州、米国で違うことも忘れてはいけません。

欧州と米国で量的緩和を始めたのは、リーマンショックの直後からです。しかし日本では、日銀が量的緩和に否定的でした。その結果、第二次安倍政権ができるまでは、量的緩和は不十分でした。

仮に時事通信の書くような競争のようなものだとしても、スタートのタイミングが違うのですから、「取り残されている」は適切な表現とは言えないでしょう。

時事通信の経済記事を読むと判断を誤る

ということで、客観的な事実を伝えるだけの記事で政権や日銀批判は、そもそも必要ありません。そして、その批判も、かなり恣意的なものだと言わざるを得ません。

この記事を読んで日本の経済が悪いと思った投資家は、判断を間違う可能性も大きいでしょう。つまり、時事通信は投資家に判断を誤らせるような記事を書いているとも言えるわけです。

その罪に、全く気付いていないのでしょうか。


  1. 量的緩和、来年から縮小=欧州も金融政策正常化―月300億ユーロで9カ月間延長
    10/26(木) 21:23配信 時事通信 []

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