2017年の衆院選で、内部留保という言葉に注目が集まりました。希望の党が公約の中で、企業の内部留保に対して課税をすると謳ったからです。
そして、この内部留保課税ですが、いつのまにか公約から消されてしまったようです。少なくとも、希望の党のサイト内では確認できませんでした。
あまりに酷い政策なので、これに関しては各所からバッシングをされていました。さすがにヤバいと思ったのでしょうか。
と思ったら、一応サイト内でも残されていましたね。でも、目立たないように見出しからは外されているようですけど。
内部留保課税っていったい何?どうしてまずいの?
ある程度会計の知識がある人は、内部留保課税のまずさが分かるはずです。でも、そうでない人だと、何が問題なのかちょっと分かり辛いのではないでしょうか。そこで、簡単に言葉の意味と問題点を解説しておきましょう。
まず、「内部留保」という用語についてでが、実は、内部留保というのは厳密な定義の無い単語です。会計用語ではないので、使う人によって微妙に意味が違っていたりするのです。よく使われているのは、次のような感じでしょうか。
■ 内部留保とは
一般的には、株主配当などにまわらなかった利益の残りの事を貯めていくことを内部留保といいます。これを、デジタル大辞泉では「企業の利益金額から配当金・租税などの社外流出分を除いた部分を社内に留保すること」と説明しています。具体的な内部留保の金額ですが、「利益準備金」などが該当します。
さて、この内部留保に対する課税は、何が問題なのでしょうか。具体的には、内部留保課税が二重課税であることが、とにかく問題です。ここでいう二重課税というのは、企業の利益から法人税を取った後に、もう一度税金を取ろうとしているという事です。
この言い方で何となく問題だと分かっていただけるでしょうが、それでも、ちょっとピンと来ない部分もあるのではないかと思われます。そこで、家計を使ってたとえ話をしましょう。
あなたは月々50万円を稼ぐとしましょう。これは社会保険料や所得税の源泉徴収を引かれた後の数字だとします。
あなたは将来のために貯金をしています。具体的には、毎月の支出を40万円に抑えて残りの10万円を貯金していました。その貯金が積みあがって、貯蓄用の銀行口座には2,000万円の銀行預金があったとしましょう。
ある時、あなたの貯金が増えていることに政府が気づきました。そして「稼いだお金を使わないのはけしからん。罰として一部没収する」といって、貯蓄用の口座から500万円を取り上げてしまいました。
凄く雑な言い方ですが、これが内部留保課税です。こんなの滅茶苦茶ですよね。
税金や社会保険を支払ってしまえば、給料は個人が自由に使えるものですよね。そのお金をどう使おうと、本人の自由であるはずです。もちろん、貯金をするのも選択肢です。
しかし、今回の希望の党の主張は、税金を取った後のお金でも自由に使ってはいけないと言っているのです。希望の党の意向に沿わない使い方をした場合は、税金を課すと言っているわけですね。
はっきり言って、独裁国家のような出鱈目な経済政策です。気づかずに出してきた政策なのかもしれませんが、かなり怖い政策と言って良いでしょう。
選挙で勝たないといけないわけですから、自分たちがやろうとしてることに気づいたら、絶対にやろうなんて思わない政策です。そんな政策をあえて出してきたという事は、内部留保課税の筋の悪さに気づいていないのかと思ってしまいます。
さすがに支持する人も減ってきたようですね
内部留保課税に限らず、希望の党の公約は首をかしげるものが多いように思います。その結果、はだいぶ支持を落としてきているようです。
そりゃ、あれだけ政策が酷いと、支持者も離れますよね。もともと、風頼みの政党ですし。経済がちょっと分かっている人なら、この人たちに経済政策は任せられないと判断するでしょうし。
代表の小池百合子東京都知事は、政治経験がかなり長いですよね。そんな長い政治経験があるのに、まともなブレーンがいないのでしょうか。
最終的な選挙結果はちょっと分かりませんが。希望の党はかなり後退したという印象です。
株価は間違いなく下がるよね
最後に内部留保課税と株価の関係を考えてみましょう。
内部留保課税は、企業からお金を取る行為です。特に悪いことをしていないのに、企業はお金を取り上げられてしまうわけですね。
という事は、そんなことをすれば、課税対象になった企業の株価は大きく下がるでしょう。資産を減らされるわけですから、当然ですよね。
ちなみに、内部留保といっても、企業に現金や預金が残っているわけではありません。既に別の資産に変わっている可能性もあります。
ということは、内部留保課税を支払うために、別の資産を売って現金を作らないといけない可能性もあるわけです。これって、倒産してもおかしくないですよね。
やっぱり、出鱈目としか言いようがない政策ですよね。
希望の党の皆さんは、こんな事もわからないで政策を作ったのでしょうか。ちょっと信じられない思いです。
スポンサードリンク
まずは確定拠出年金(個人型)を検討しよう
個人の資産運用で一番有利な金融商品は、何と言っても確定拠出年金(個人型)でしょう。いわゆるiDeCo のことです。
普通に働いている人なら、年間数万円から数十万円の節税が可能です。もちろん、完全に合法です。こんなに有利な金融商品は、他には存在しません。加入がまだの人は、とりあえず検討だけでもしてみてはいかがでしょうか。
iDeCo をはじめるには、窓口となる金融機関を選ばないといけません。お勧めはSBI証券かマネックス証券です。とりあえずは、資料請求だけでも。

スポンサードリンク





関連した記事を読む
- 配当利回りではなく配当性向に注目してみるのはどうだろう?
- NISA 導入後をにらんだ投資信託開発が活発化してきたのか?
- 退職金にかかる所得税はどうやって計算するの?
- NISA とは| 節税につながりますから、しっかりチェックしておきましょう
- 何をどうやったらそんなに損を出せるのだろう?