本を読むときには、本に書かれていることを100%信じて読む人が多いでしょう。でも、そういうスタンスで読んでいると、偏った意見を鵜呑みにしてしまう可能性があります。
例えば、生命保険に関する入門書は、生命保険会社の関係者が書いていることも多いです。彼らの仕事は保険を売る事ですから、基本的には保険が必要だというスタンスで本を書きます。
そうすると、結果的に、必要性が小さい保険まで必要であるかのような書き方になってしまうことも珍しくありません。あるいは、必要以上に保障の大きいプランを勧められるようなこともあります。
彼らの立場上、どんな保険であっても要らないとは書けないのです。営業系の書いた人だと、営業ツールとして保険を使うこともありますしね。
大学の教科書レベルでも同じような現象が
この手の事は、一般向けの入門書だとよく見られます。しかし、それだけではなく、大学の教科書ですらこうした書き手の都合で書かれている部分もあるのです。
今回見つけたのは「国際金融論講義(深尾光洋)」という本でした。この本は著者の慶応大学での講義ノートを元に書かれたという、教科書的な性格の強い本です。
問題があったのは、この本の第2章です。そこでは、ヘリコプターマネーや政府紙幣といった金融政策が徹底的に批判されていました。
確かに、ヘリコプターマネーや政府紙幣に関しては、批判的な専門家が多いのも事実です。しかし、積極的に導入するべきだという経済学者も多いのです。例えば、バーナンキはヘリコプターマネーの採用に積極的です。
教科書的な本の中で、否定的な意見のみを紹介するというのは、かなり不自然な感じがしました。著者の意見がどうであれ、学部生向けの教科書なんだから両方書いておけばいいはずなんですよね。
著者の経歴を見ると理由が分かりました
この著者がヘリコプターマネーや政府紙幣に対して否定的な理由は、著者の略歴を確認すると簡単に推測することが出来ました。この著者は日銀の出身だったのです。
日銀は伝統的に、ヘリコプターマネーや政府紙幣と言った政策に反対のスタンスを示しています。日銀を辞めて大学の先生になっても、日銀的なスタンスで本を書いているわけですね。
ということで、大学の教科書ですらこんな感じです。本を読むときには、鵜呑みにし過ぎないように注意が必要です。
解説は分かりやすかったですよ
あ、ちなみに、この教科書ですが、主要テーマの国際金融論に関しては分かりやすく説明されていますよ。一応フェアに言っておくと。
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