アベノミクスと呼ばれる経済政策で一番重要なのは、間違いなく金融緩和です。それを実現するために、日銀の総裁や副総裁、審議委員に量的緩和に積極的な人材を送り込んでいます。総裁と副総裁、審議委員が政策委員会のメンバーになり、金融政策の方針を決めているのです。
その政策委員会の中心の一人である岩田規久男副総裁日銀は、「ユーロ危機と超円高恐慌」と言う本の中で、金融緩和は財政再建に効果があると主張しています。ちょっと引用してみましょう。
財政再建を急ぎすぎず、かつ、市場の政府債務に対する信認を損なわない程度のスピードで進めるためには、金融緩和政策を併用して、インフレ率を現在以上に引き上げることが必要である。
インフレ率が上がれば、名目国内総生産が増えて税収が増えるから、財政は改善する。インフレ率が上がると国債の金利も上がるから、利払い負担が増えて、税収の増加を相殺してしまうと思われるかもしれない。しかし、税収が増えれば、国債発行を減らすことができるから、時間がたつにつれて、税収の増加のほうが金利負担の増加よりも大きくなり、財政を改善することができる。
インフレになると税収が増えます。そのために財政は改善するというのが、岩田副総裁の主張ですね。この他にも株価や不動産価格、所得が増えるというメリットがあると主張しています。
インフレには利払いの増加という副作用もありますが、それに関しても、問題無いという主張をしています。税収が増えるために国債発行が減るので、税収の増加の方が金利負担の増加よりも大きいというのがその主張です。
「ユーロ危機と超円高恐慌」は一般向けの本なので、税収の増加が金利負担の増加よりも大きいという根拠は示されていませんでした。その点に関する解説が無かったのは、ちょっと残念です。
ちなみに、ご存知のように、2017年現在では岩田副総裁が主張するような結果にはなっていません。消費税増税の影響で思ったほどのインフレにならなかったからです。
それでも、株価や不動産価格は上がっていますし、雇用が改善し給与も増えています。また、長期金利の低下により政府の借金に対する利払いは減少傾向にあります。政策を実行することによるプラスの効果があったとみても良いでしょう。
ところで、アベノミクスによって財政再建はできたのでしょうか。新聞の経済記事を読んでいると、国の借金が○○兆円に増えましたというような記事を未だによく見ますよね。ということは、財政再建は未だにできていないのでしょうか。
実は、財政再建に関してはすでに終わっているという主張もあります。と言うのも、統合政府という考え方をすると日銀と言うのは政府の一部なので、日銀が持っている国債は政府の借金と相殺できるという考え方ができるのです。つまり、日銀が量的緩和のために国債を買い入れをすればするほど、実質的な政府の借金は減っていると考えて良いわけです。統合政府のバランスシートで考えると、日本の財政再建は終わっているわけです。
この統合政府で考えると財政再建は終わっているという主張には、反対意見を述べるエコノミストもいるようですけどね。個人的には反対意見の主張は、ちょっと説得力を欠くように思えてなりません。まあ、ここでは、詳細に踏み込むのはやめておきましょう。
という事で、統合政府の主張が正しいとすれば、岩田副総裁のロジックは違いますが、金融緩和で財政再建が出来ているという話になるわけです。
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