最近の雇用状況などを見ると、アベノミクスの金融緩和は成功した経済政策と言って良いでしょう。
インフレ率が思ったほど上がらないというのは、もちろんマイナス点でしょうけどね。そのマイナス点以上に大きなプラスがありました。
ところが金融関連の人の中には、アベノミクスには限界があり近々出口を探らないといけなくなると主張する人がいます。さて、こういった主張は本当に正しいのでしょうか。あるいは、ポジショントーク的な話で、聞き流せば大丈夫なのでしょうか。
金融関係者は何が問題だと主張している?
今回「最強通貨ドル時代の投資術」という本の中から、アベノミクスの出口戦略を考えないといけないという人たちの主張を紹介したいと思います。ちなみに、藤田勉というシティグループ証券の取締役副会長が書いた書籍です。
その上で、本当に彼らの主張が正しいのか考えてみましょう。
この本の中で、アベノミクスの金融緩和の2つの問題点が指摘されています。一つがマイナス金利になるという問題です。
マイナス金利というのは、国が債権を発行すると、普通であれば金利を支払うのだが、逆に金利をもらえる状態である。もちろん、これは大変な異常状態であると言える。
もう一つが、量的緩和には限界があるという指摘です。
仮に、政府がこのままのペースで国債を発行し、かつ日銀が国債を買い続けたとすると、2017年には日銀の普通国債の保有残高は半分以上になるだろう(普通国債発行残高は2015年3月末774兆円)。そして、やがては、日銀がすべての国債を買いつくしてしまうかもしれない。つまり、この政策は永遠に続けられるものではなく、やがては止めねばならないものなのだ。
この2点を指摘した上で、日銀による金融緩和は続けられないという主張をしています。
これほどまでに極端な金融政策は、いつまでも続けられない政策であることは火をみるより明らかだ。
これって問題なの?
これを読んだ人は、日銀による異次元緩和の継続は難しいと思うのでしょうか。率直に言って、私には何の問題も感じられないのですが。
まず、マイナス金利が異常な状態と言うのは、確かにその通りかもしれません。金利と言うメリットがあるから、金融商品を買うはずですからね。
ただ、異常な状態だからと言って、この状態を継続したところでたいした問題は無いんですよね。
マイナス金利になっても日本の国債が欲しいと思う人がいるから、マイナス金利という状態が成立しているわけです。だとしたら、何の問題も無いですよね。マイナス金利の国債なんて要らないという人ばかりなら、そもそもマイナス金利になんてならないわけですから。
また、買える国債が無くなるというのも、実はそれほど大きな問題ではありません。金融緩和は通貨の量を増やすことが出来れば良いので、買うのは日本の国債に限らないからです。別に何を買っても良いんですよね。実際、米国債を買えばいいと主張する人もいます。
ですから、「いつまでも続けられない政策であることは火をみるより明らか」というのは、いくら何でも言いすぎだと思うのです。
アベノミクスは銀行に都合の悪い政策
ちなみに、金融関係者がアベノミクスに難癖をつけるのは、自分たちにとって不利な政策だからです。
第二次安倍政権誕生前は、銀行は国債を中心に運用することが出来ました。預金者から預かったお金で国債を買うだけで、利益をあげられたのです。
その状態からすると、現状はかなり厳しい状態でしょう。金利はゼロに近い状態ですし、そもそも日銀に買われてしまって国債を買うのも難しいからです。
アベノミクスの継続に否定的な「最強通貨ドル時代の投資術」の著者も、銀行系の証券会社の人ですからね。何かしがらみがあるのだろうと思ってしまいます。
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