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資産効果って何だ?| 株価や不動産価格が上がると消費も増えるって事だね

テレビのニュースや新聞の経済記事などで「資産効果」という言葉が使われることがよくあります。例えば、日経新聞の記事の中では、次のような使われ方がされています。

消費動向では節約は維持しながらも、株高などの資産効果を背景に「ハレの日消費」や必要な物にはお金をかける前向きな動きが見られる。1

でも、資産効果ってどのようなものなのでしょうか、使われる頻度が高い割には正確な定義が知られていないような気がしませんか。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の定義

ブリタニカ国際大事典では、次のように定義されています。

資産の保有が消費支出に及ぼす効果のことで,所得が同一であれば,保有する資産が多いほど消費者は消費支出を高めることになるというもの。これを流動資産である貨幣についてみてみると,かりに名目的な貨幣存在量が一定であるとしても,価格水準が低落すれば貨幣の実質価値は増大し,これが消費支出を高める方向に作用することになる。この貨幣の実質価値の増大が消費支出の増加に及ぼす効果を D.パティンキンは実質残高効果と名づけた。この効果は先に A.C.ピグーによっても提唱された。この実質残高効果は消費関数論争において,流動資産仮説の中に取入れられている。

「所得が同一であれば,保有する資産が多いほど消費者は消費支出を高める」というのは、例えば、所得が上がらなくても不動産や株などの資産が増えれば消費が増えるという事ですね。

ちなみに、株式や不動産などの資産が増えるためには、必ずしも新しい株式や不動産を買います必要はありません。株価や不動産の時価が上がれば、資産は増えたと考えて良いからです。

そう考えると、最初に引用した記事の「株高などの資産効果を背景に…お金をかける前向きな動き」という表現も理解できるはずです。株高で株式を持っている人の資産が増えたので、資産効果によりお金を使うようになったというわけです。

株高は庶民と関係ないという主張は嘘って事か?

よく、「株価が上がっても庶民には関係がない」というようなことを言う人がいます。でも、資産効果と言うのが実際にあるのなら、これは嘘であることが分かります。

株価が上がれば、株式を持っている人たちはお金を使うようになります。消費が増えれば企業の業績が良くなります。企業の業績が良くなれば、雇用だって改善するでしょうし賃金も上がるでしょう。

ということは、株高は多くの人にとってプラスであるという事ですね。不動産価格の上昇の場合は、単純にみんなにとってプラスとは言えませんけどね。特に、不動産を購入したい人にとっては。

逆資産効果というのもある

ちなみに、資産効果に対して逆資産効果というのもあります。

資産効果は、株や不動産などの資産価値の上昇が原因で消費が増え、景気が良くなることでした。逆資産効果はその反対で、株価や不動産価値の下落で消費が鈍り、景気が悪くなることを言います。

ちなみに、資産効果と同様、経済ニュースなどではしばしば出てくる用語です。例えば、次のような感じですね。

株安が続くようなら個人消費の減退を招き、「景気が後退する逆資産効果につながりかねない」(銀行系証券)と、市場関係者は景気悪化の加速化に警戒感を強めていた。2

FRB(米連銀)乗り上げにより、米国株が暴落しました。この影響で日経平均も下がり、逆資産効果により景気悪化が心配されるという記事ですね。

考え方は資産効果と同じです。資産効果の理屈がわかれば、逆資産効果という言葉を理解するのは難しくないでしょう。

資産効果はピグー効果と同じもの?

ちなみに、資産効果は、ピグー効果と呼ばれる事があります。つまり、「資産効果 = ピグー効果」というわけです。

それでは、ピグー効果とは何かと言うと、デジタル大辞泉では次のように説明されています。

物価が下がると、消費者が保有している残高の実質的価値が高まり、消費が促進されるという効果。英国の経済学者ピグーの説。実質残高効果。

ちょっと変ですね。この定義って、上で紹介した資産効果の説明とは少し違います。

物価が下がることにより、消費者が持っている資産の実質的価値が高まる。だから、消費が増えるのだというのがピグー効果の理屈です。

例えば、あなたは1000万円の現金を持っているとします。1年後に物価が半分になったら、持っている現金は1000万円でも、1年前の2倍の買い物ができることになります。

そうすると、倍のお金を持っていることになりますから、消費も増えるだろうということです。つまり、デフレで消費が増えるという説なわけですね。

しかし資産効果というのは、物価の下落を前提としていません。ですから、「資産効果 = ピグー効果」という説明は、実は正確ではないのです。

ピグー効果は資産効果の一部であるというのが、正確な言い方でしょう。あるいは、狭義の資産効果とピグー効果は同じものという言い方でも良いかもしれません。

まあ、いずれにしても、単純にイコールで関係づけてしまうのは危険そうですね。


  1. 街角景気 6月0.2ポイント上昇 5県 「ハレの日消費」に動き
    日経新聞電子版 2017/7/11 6:00 []
  2. 〔東京株式〕2万円の攻防(21日、続き)☆差替 2018/12/21(金) 15:30配信 時事通信 []

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