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ブックオフは売上高が伸びない| 成長が止まりコストが増え赤字転落

2016年3月期決算で、ブックオフが赤字に転落したようですね。連結決算でみると、売上高が765.6億円だったのに対して、5.3億円の営業損失だったようです。

ちなみに、2017年3月期の第1四半期決算はさらに悲惨なようです。198.8億円の売上高に対して、営業損失が4.7億円も出ています。(2018年1月追記:2017年3月期は営業利益は何とかプラスになりました。ギリギリですけど。)

とうい事は、このまま行くと、2017年3月期決算はさらに営業損失が大きくなる可能性が大きいわけですね。かなり厳しい状況であると言ってよさそうです。

意外と買い取り価格が高いんだね

赤字の原因を探ろうと思って2016年の損益計算書を見てみました。

まず気づいたのですが、ブックオフの買い取りって意外と高いのですね。売上高が765.6億円だったのに対して、売上原価が307.6億円となっていました。この数字だけから判断すると、平均すると販売価格の4割ほどの値段で買い取っていることが分かります。

思った以上に高値で買い取っているのですね。中古ショップって、もっと二束三文で仕入れているものだと思っていました。

もっとも、Yahoo!オークションやらAmazon.co.jp などで売った場合、ブックオフでの販売価格程度で売れるわけですよね。ブックオフもYahoo!やAmazon.co.jp を参考にして値付けをしているようですから。

ということは、ブックオフを通して売ると、かなり安い値段になってしまうのも事実なんですけどね。まあ、オークションに出品する手間を選ぶか、すぐに買い取ってもらえるという便利さを選ぶかで選択は違ってくるのでしょう。

販売費および一般管理費が高い

売値の4割の額で仕入れたとしても、まだ売値の6割は残っています。しかし、「販売費および一般管理費」が残りの6割よりも若干高かったので、営業損失が出てしまったようです。

具体的には、次のような支出が大きかったようです。

  • 給料及び手当:43.6億円
  • パート・アルバイト給与:128.5億円
  • 地代家賃:112.0億円

これらを合算すると、給料と家賃で284.1億円もかかっているのが分かります。

これに加えて、「その他」がという項目で163.7億円が計上されています。その他がこんなに大きいって、ちょっと不自然な気がしないでもありません。

まあなんにしても、「販売費および一般管理費」がかなり大きいのは間違いありません。安定して黒字化するには、この部分を何とかしないといけないようです。

2010年度3月期決算はどうだったかというと

さて、ブックオフの決算は、かつてはどんな感じだったのでしょうか。2010年3月の決算をチェックしてみましょう。

売上高はあまり変わっていない

この年の売上高は、710.9億円でした。実は2016年度と売り上げは大きく違いません。つまり、売上高という意味では、ブックオフは停滞していることが読み取れます。

最近のブックオフは取扱商品を増やして多角化を図っているようです。例えば、古着や家電などを取り扱っています。でも、これはあまりうまくいっていないという事なのでしょうね。

そして、2010年度の営業利益は28.1億円でした。売上高に対する営業利益を計算してみると、4.0%です。それほど利益率が高いとは言えないものの、それなりの利益を確保しているという感じでしょうか。

仕入れに関しては今よりも割高だった

次に仕入れについて見てみましょう。2010年度の売上原価は310.1億円でした。という事は、仕入れの額に関しては、2016年度とほとんど同じだったという事です。

2010年度の方が2016年度と比べて、売上高は若干少ないものでした。という事は、2010年度は原価率が若干高かったわけですね。それにもかかわらず、利益が出たわけです。

「販売費および一般管理費」が安いので黒字化できた

こんなことが起こるためには、「販売費および一般管理費」が高いのでしょう。そこで、「販売費および一般管理費」をチェックしてみると、372.7億円でした。

2016年の「販売費および一般管理費」が463.3億円ですので、今よりも約90億円「販売費および一般管理費」がかかっていない事になります。つまり、ブックオフの赤字の原因は、「販売費および一般管理費」が増えたことが原因と言えそうです。

2010年度の「販売費および一般管理費」を詳しくチェックしてみましょう

さらに追及するために、2010年度の「販売費および一般管理費」の内訳をチェックしてみましょう。

  • 給料及び手当:38.2億円
  • パート・アルバイト給与:91.3億円
  • 地代家賃:95.7億円

2016年度の数字と比べて特に違うのが、「パート・アルバイト給与」です。2010年度に91.3億円だったのが、2016年度には128.5億円まで増えています。37.2億円も違うわけです。

ということは、「パート・アルバイト給与」が2010年度程度だったら、2016年度も余裕で黒字は確保できたわけですね。

詳しく分析してみると他にもいろいろと問題はありそうですが、とりあえず「パート・アルバイト給与」が赤字の大きな要因であるのは間違いなさそうです。

売上高を増やすか「販売費および一般管理費」を削るかしないと黒字化は難しい

ここまで見てきたことから判断すると、ブックオフが黒字化するためには、売り上げを増やすか「販売費および一般管理費」を削るしかないでしょう。売上高が変わらないのに「販売費および一般管理費」が増えているというのは、やっぱり経営が上手くいっていない証拠と思われます。

個人的に特に厳しいと感じたのが、売上高が伸びていないという点です。

最近のブックオフは、本だけでなく古着や家電にまで手を広げています。それにも関わらず売り上げが増えていないのです。ということは、書籍の売り上げが減っている可能性もありそうですよね。あるいは、本以外が全然売れていないかです。

どちらにしても、経営的には大問題と言えるでしょう。しかも、それが何年も解決できていないわけです。

とりあえず、ざっくりと見ただけでも問題が大きいことが分かりました。

2018年1月追記:その後のブックオフは?

さて、その後のブックオフがどうなっているのか、2017年3月期決算と、2018年度3月期の中間決算の結果をチェックしてみましょう。

まず、2017年3月期決算ですが、売上高が813億4400万円でした。また営業利益が1億1600万円でした。どうやら、営業利益が出るようにはなったようですね。

全期と比べると、売上高が約500億円伸びて、営業利益が600憶円改善しています。この事実から考えると、コストを増やさずに売り上げが少し増えたという理解で良さそうです。

ただ、営業利が出たとはいえ、営業益率が0.14%です。という事は、ギリギリでプラスにしたという感じでしょうね。期末には意識をして作った数字かもしれません。営業利益と営業損失では、イメージが全然違いますからね。

ちなみに、営業利益率とは、次のような数字です。

定期間における売上高と営業利益との割合で,売上高営業利益率ともいう。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

営業利益は、文字通り営業活動で得た利益です。つまり、「売上高に対してどの程度本業で稼げましたか」という数字だと思ってください。それが、やっと、マイナスからゼロまで来たという感じです。で、これがマイナスになると、営業損失となります。

2018年3月期の第2四半期決算を見るともう少し改善しているのかも

ちなみに、2018年3月期の第2四半期決算を見ると、もう少し改善している感じがします。というのも、本業であるリユース店舗事業が14憶8800万円の黒字だったのです。前年同期は4,600万円の赤字でしたから、本業はかなり改善しています。

その一方で、「ハグオール事業」というのが調子が悪いようですね。6億1700万円の赤字をだしています。これは、前年同期よりも赤字幅が大きくなっています。

どうやらハグオールというのは、ブックオフの子会社のようですね。つまり、本業は復活しつつあるが、子会社に足を引っ張られているという状態みたいです。

あと、売上高はちょっと減っているんですよね。率直に言って、成長という意味ではかなり厳しそうですね。コストを減らして利益を出すしかないのが現状でしょうか。

まあ、なかなか一気に回復とはいかないものですなあ。

これからも、時々チェックしてみましょう。


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