2016年7月の金融政策決定会合で、日銀がETF の購入額を年6兆円まで増やしました。このことが原因で、面白いことが起こっているようです。
具体的に何が起こっているかというと、日銀がETF を買うことで日銀が上場企業の筆頭株主になるケースが出てきているのです。
正確に書くと、日銀は筆頭株主になるわけではありません。ただ、ETF を通して持っている株数で考えると、事実上の筆頭株主になるということです。ですから、議決権を行使できるわけでも何でもないんですけどね。
批判的な意見も
日銀がETF を買うというのは、株価を押し上げる効果があるはずです。ということは、証券関係者は歓迎しそうな気がしますよね。
しかし、ブルームバーグの記事を読んでいると、必ずしももろ手を挙げて賛成というわけでもないようです。1 記事の中に書かれていた代表的な反対意見を2つほど紹介し、それについてちょっと考えてみましょう。
浮動株が少なくなる
1つ目の批判は、日銀がETF を買うことで浮動株が少なくなるという問題です。ちょっと引用してみましょう。
SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、「浮動株を吸収し尽くしていくことが今後問題になる可能性はある」と指摘。流動性が低下すれば、売買がしにくくなり、「どうしても買いたい投資家は価格をつり上げ、売りたい投資家は下値を大きく下げる。浮動株比率が低い銘柄は値動きが荒くなり、その銘柄のウエートが高いと、インデックスへの影響も大きくなる」と話す。
浮動株というのは、市場で売買されている株式という意味ですね。
経営陣や銀行、関連会社が持っている株というのは、一般的には、市場で売買されるということはありません。ですから、実際に株式市場で売買されるのは、それらの株式を除いたものということになります。これが浮動株です。
日銀がETF を買うと、この浮動株が少なくなります。購入できる株式が減ると、株価の変動が大きくなります。これが問題だという意見ですね。
まあ、確かに、これはちょっと気になる部分ではあります。
出口戦略は心配しないといけないの?
2つめは、出口戦略に関する批判です。
また、日銀がETFの買い入れを増やせば増やすほど、出口政策のタイミングもますます難しくなっていく。SMBC日興の伊藤氏は、「日銀もいつまでも持ち続けるわけにはいかない。どこかで出口戦略を考える時、指数ウエートの高い銘柄や保有比率の高い銘柄に思った以上に売り圧力がかかる可能性は考えなければならない」としている。
出口戦略というのは、要するに、日銀が量的緩和を辞める時にどうするかという話ですね。この方は出口戦略として、日銀が持っているETF を売ることを想定しているようです。
でも、実は、この点に関してはあまり心配はいらないでしょう。なぜなら、量的緩和の必要がなくなったとしても、すぐにETF を売る必要はないからです。
現実的に考えてみると、インフレ率が目標の2%に達したあたりで、追加のETF の購入を止めればいいだけの話なんですよね。そうするだけで、緩和の程度は落ちるのです。ETF は当面持ち続けてもかまいません。
急いで売却の必要が無ければ、株価の下落は気にする必要がありません。どうしても売却をしないといけないと考えるのなら、ゆっくり売っていけばいいだけです。
ということで、この部分に関してはあまり心配が無いように思えます。
- 大株主「日銀」、17年末に日経平均4分の1で筆頭-ETF増功罪
Bloomberg 2016年8月15日 [↩]
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