これまでも何度か書いていますが、日本のメディアの経済ニュースを見ると、経済の状況判断を間違う可能性が大きいです。そんな例をもう一つ紹介しましょう。時事通信の記事からです。
先日、中国が主導するAIIBの加盟国が、81カ国に達する見込みだというニュースがありました。日米が主導するアジア開発銀行(ADB)が67カ国と地域ということで、数の上ではADBを超えたことになります。1
このニュースだけ見ると、AIIBがADBよりも優位な立場にあるような印象を受けますよね。そして、AIIBの中核を担う中国の経済は、まだまだ好調だという印象を受けるでしょう。
少なくとも時事通信の記事は、そういう印象を与えたがっているように見えます。なぜかというと、AIIBに関する不利な記述は、この記事の中では一文字も無いからです。
格付けが取れないような銀行なんですけどね
でも、冷静になって考えると、加盟国が増えたからどうしたというのでしょうか?
AIIBというのは、資金調達のために発行する債券の格付けが取れないような組織です。加盟国の数だけ増えたところで、単純に優位に立ったといっていいような話ではありません。
そもそもアメリカと日本が参加していない段階で、AIIBがADBより優位などという事はありえないのです。加盟国の数だけを数えたところで、AIIBが有利な立場にいるという話には全くならないわけです。
経済記事に見せかけた政治の記事なのでは
時事通信は、日本のAIIBの加盟にずっと積極的でした。資金調達のための債券の格付けが取れないなどの大問題が発覚しても、そのスタンスを崩すことができないようです。
一度言ったことは訂正できない体質なのでしょうか。それとも、何か違う理由なのでしょうか。
この記事に限らず、時事通信の報道姿勢を見ていると、親中的なスタンスを取ることが多いようです。これは政治記事だけに限らず経済ニュースでも同様の傾向が見られます。
という事は、この記事も、実は政治的な意図を含んでいる可能性も小さくないのでしょう。親中的なスタンスが崩れないように記事が書かれていると邪推したくなるわけです。
率直に言って、こんなものをソースに経済の現状を知ろうと思ったら、明らかに判断を間違うでしょう。特に海外の経済の状況を知ろうと思っている人には、害のほうが大きいですよね。投資向けとしてはメディアとして落第なのです。
読売新聞の記事と比較してみると一目瞭然
ちなみに、時事通信が中国よりだというのは、読売新聞の記事と比較してみると一目瞭然です。AIIBの加盟国がADBを超えるという同様の記事の中で、読売新聞はしっかりと問題点を指摘しています。
たとえば、次のような記述があります。
加盟国は、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)を上回る見通しだが、運営の透明性などに課題を残したままだ。2
この他にも、AIIBの問題点はいくつか指摘されています。AIIBの見た目の優位性のみしか書かない時事通信とは、大きくスタンスが違うと言っていいでしょう。
当然ですが、時事通信の記事が文字数が少ないために、AIIBを疑問視する記述が無いという可能性はありません。なぜなら、読売の記事と比べると読売よりも若干短いものの、時事通信の記事もそれなりの長さだからです。
少なくとも私には、意図的にAIIBの不利な点を省いたとしか思えません。経済ニュースのソースとしては、時事通信はちょっと使う気にはなれないわけです。
もちろん、時事通信に限らず、他のメディアでも気になる点は多々あります。
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