少し前まで、大手マスコミはラップ口座のことを絶賛していました。「全てをプロに任せられる」とか「残高が既に○兆円」みたいな持ち上げる記事が多かったのです。
ラップ口座というサービスを認知させる片棒を担いでいたと言っても過言では無い状態でしょう。年金資金の運用先として、ラップ口座を選んだ人が多かったはずです。
手数料が高い駄目な商品
マスコミが広めた良いイメージがあるラップ口座ですが、実態は必ずしもそうではありません。はっきり言って、手数料が高すぎて使えない商品なのです。
ですから、マスコミが金融機関の手先のようにラップ口座を紹介しているのを見て、「良い商品だと勘違いして入っちゃう人も多いんだろうなあ」と思っていました。実際、契約者はかなり増えたようですからね。
ラップ口座の問題点を指摘する記事も
しかし最近になって、ラップ口座に関して批判的なことを書く記事も出てきたようです。例えば、松井証券がラップ口座を始めるという「松井証券、ラップ口座に参入へ コンピュータ対応で割安」という記事では、次のような記述もあります。
ラップ口座は、顧客が証券会社などにまとまったお金を預け、証券会社が顧客のリスク許容度に応じて株式や国債、投資信託を組み合わせて運用する商品だ。日本投資顧問業協会によると、6月末のラップ口座残高は、1年前の3倍以上の4兆7541億円に急増している。ただ営業員が顧客の相談に乗り、運用方針や商品の説明をするため、2~3%程度かかる手数料の割高感が指摘されている。
一言でも問題点を添えるようになったのは、大きな変化です。十分かと言われると、疑問が残りますけど。
取り上げられる機会自体が大幅に減少
ラップ口座に対する批判的な記事が載ったのも大きな変化ですが、違った形でマスコミが変化するようにもなっています。どんな形かというと、ラップ口座の記事事体を書かなくなっているのです。
ラップ口座という金融商品が社会的に注目され始めた時期には、当然マスコミはこぞって記事にするはずです。ですから、その当時と比べて、記事の本数が減るのは不思議ではありません。
しかし最近の減り具合は、そんなものでは無いのです。Yahoo!ニュースなどでチェックしてみるとよく分かりますが、大手メディアはほとんど記事にしなくなってしまいました。もう、無視しているかのような状況です。
金融庁の指摘が効いているのか?
マスコミのこのような反応の裏には、金融庁の指摘が効いているのかもしれません。平成27年の「金融レポート」というレポートの中で、ラップ口座(特にファンドラップ)の事を手数料(運用コスト)が高い商品として指摘しているのです。ちなみに、ファンドラップとういのは、投資信託を使って運用されるラップ口座の事ですね。
運用コストが高い商品って、要するに、金融機関に有利で一般の投資家には不利な商品という事ですよね。言ってしまえば、ダメな金融商品という事です。
まあ、こんな指摘を金融庁にされたら、マスコミも積極的に褒めるのは難しくなるでしょうね。ブームが落ち着いたタイミングでもあるので、わざわざ取り上げられる機会が減ったのは当然と言えば当然なのかもしれません。
金融庁の指摘の中身をチェックしてみよう
金融庁のファンドラップに対する具体的な批判を見てみましょう。まず、ファンドラップの手数料が高いことを説明しています。
投資家が支払う手数料は、主なファンドラップ商品の平均で、年間 2.2%に達する。一方、一般の投資信託の場合、初年度に平均3%程度の販売手数料がかかるものの、毎年支払う手数料(信託報酬等)は平均 1.5%程度となっている。
年平均で見て、0.7%程度余分に手数料を取っていることになるのです。0.7%というと小さい額のように思う人もいるかもしれません。でも、運用しているのが1,000万円だったら、年間7万円も余分に手数料がかかるという事ですからね。バカにならない金額です。
長期投資により資産形成を目指す場合、年間の支払い手数料が運用成果に大きな影響を及ぼすことを踏まえれば、投資家においては、ファンドラップと他の投資商品の比較等により、ファンドラップの手数料が、提供されるサービスや運用成果の対価として適正であるか確認することが重要となっている。
そして、年間の手数料が高くなり、この手の商品は長期投資には不利だと示唆しています。さすがに、実際売られている金融商品ですから、直接的に買ってはいけないとまでは書かれていませんけどね。でも、ほとんどそう言っているのと同義であるように読めますよね。
一方、対象の証券会社や信託銀行が提供しているファンドラップについて、運用対象の投資信託の中身を見ると、系列の投資運用業者が設定する投資信託が平均で5割前後を占めており、中には7割近くに達するものもある。
これも重要な指摘です。金融庁が何を言っているかというと、系列会社の投資信託を使って運用することで、系列会社にもお金が落ちるようにしていると指摘しているわけです。
これって要するに、運用のパフォーマンスを上げるためではなく、自社の利益のために投資信託を選んでいるという事ですよね。少なくとも、そう疑われても仕方がないでしょう。金融機関は顧客の利益よりも自社の利益を最優先しているのだと、暗に指摘しているわけです。
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