マネーの達人というサイトに、「なぜ、投資で損をするのか?」というシリーズ記事が載っていました。投資経験の浅い人に役立つ記事かもしれないと思ったので、一応チェックしてみました。
でも、率直に言って、かなり残念な内容の記事であることが分かりました。どのあたりが残念なのか、ちょっとチェックしてみましょう。
株式投資でトータルで儲けているのは1割か2割?
最初の突っ込みどころは、次の部分です。
正式な統計データはありませんが、例えば株式投資においてトータルで見た場合、収益を上げている方は全体の1割~2割ぐらいだとも言われています。少なくとも全員が収益を上げることができないのが株式投資の世界です。
統計データもないのに、言い切っちゃっていますね。すごいなあ。
まあ、確かに、私自身も「株式投資はトータルでは損をしている人が多い」という表現は聞いたことがあります。おそらく、どこかで聞きかじった話を披露しているのでしょうね。
でも、「株式投資では損をしている人が多い」という話を聞いたのって、実は、バブル崩壊後の毎年のように株価が下がっていた時期なんですよね。
上下しながらではありますが、4万円近くあった日経平均が、十数年かけて最終的には7,000円台まで下がったのです。そりゃ、トータルで損をした人の方が多いでしょうよ。
でも、これを一般論のように語ってしまうのは、ちょっとどうかと思います。そもそも、日本のバブル崩壊とその後の経済政策の失敗は、かなり特殊な状況だと言って良いからです。
多分、2000年以降に投資を始めた人で調べてみれば、儲かっている人の方が多いでしょう。控えめにみても、損をしている人と儲けている人の比率は、半々くらいだと思います。
ということで、根拠も無くほとんどが失敗しているというような言い方は、かなり違和感を覚えます。不安を煽って記事を読ませるという、彼なりのテクニックなのかもしれませんけどね。
世界的に見ると儲けている人の方が多いはず
ちなみに世界的に見ると、株式投資というのは儲けている人の方が多いはずです。日本のように2000年以降に限定せずに超長期で見ても、儲かっているはずなのです。
これは、海外の株式指数を見ればよく分かります。世界的にみれば、株式指数というのは右肩上がりで上がっているのです。もちろん、リーマンショックのような大きな出来事があれば、一時的に下げることはありますけどね。長期的にみれば、右肩上がりです。
これで1割とか2割しか儲けていないとしたら、逆にどうやるのか教えてほしいくらいです。常識的に考えたら、不可能なんですよね。
つまり、日本一国の失敗例をもって、株式投資全般について儲かっていないような書き方をするのは、かなりナンセンスなのでは無いかと思うのです。
しかも最近は、海外の株式を買うのも難しくなくなりました。彼の言っている1割とか2割しか儲からないという状況が日本だけでは今後も続くと思うなら、海外の株を買えば良いのです。海外の株を買うのが難しいと思えば、投資信託でも良いわけですしね。
まあ、こんなふうに書いておかないと、この先都合が悪いのでしょうけどね。皆が失敗する前提で、議論を進めたいのでしょうから。
ちなみに、「少なくとも全員が収益を上げることができないのが株式投資の世界です。」という言い方は、間違っていないでしょう。確かに、損をして株式投資をやめてしまう人は存在しますから。
そもそも株式投資は元本保証ではありませんから、全員が儲かったらおかしな話になってしまいます。
永遠に勝ち続ける相場は存在しない?
次に、こんな事も言っています。
今年の日経平均株価は2万円を目指すという予想も出ていますが、永遠に上昇し続ける株価(相場)はありません。言い換えると、永遠に勝ち続ける相場もないのが現実です。
これに関しても、かなり疑問がある表現ですね。というのも、長期的にみて上がり続けている株式指数があるからです。
もちろん、将来的に上がり続けるという保証はありませんけどね。過去の実績としては存在しています。しかも、かなり有名な株式指数です。
投資に関心がある人なら、ダウ平均という株式指数を聞いたことがあるでしょう。このダウ平均は、基本的には、右肩上がりで上がり続けています。「相場」というのをどの程度の期間でとらえるかにもよりますが、少なくとも長期的にみれば、ダウ平均は右肩上がりでした。
こういうのは論より証拠だと思うので、グラフを見てみましょう。世界経済のネタ帳というサイトがあるのですが、そこにダウ平均の年次のグラフが出ています(http://ecodb.net/stock/dow.html)。これをみて、右肩上がりで上がり続けていると思わないとしたら、ちょっと視力を疑ったほうが良いです。
他の国の指数も、ここまで分かり易い右肩上がりではありません。ただ、傾向としては基本的に右肩上がりです。また、世界全体で見ると、株価は確実に上昇しています。
一時期よりは上昇のペースが衰えたという指摘はありますけどね。それでも、世界的かつ長期的に見れば、右肩上がりです。
自分の都合が良い部分だけをとって語る人が多い
今回引用したのは、連載の1回目の部分からだけです。2回目も読んでみたのですが、終始こんな調子でした。持論を展開するのに都合が良い事実だけを使って論を展開している印象だったのです。
というか、2回目はさらに何を言いたいのか分かりませんでした。随筆でも読まされているのという感じです。投資の指南をしているはずなのに、内容が抽象的過ぎて。
気になる部分を、ちょっと引用してみましょうか。
ところが投資の予測では、天気予報と比べると正確性は劣ってしまいます。これは、投資の予測のレベルが低いのではなく、政治・経済・紛争などの他に予測ができない要因も投資の環境に影響を与えているからです。
これは明らかな嘘なんですよね。短期的な株価は予想できないというのは、現在では主流派になっている考え方のはずです。予想が出来ると言っている時点で、そもそもの前提が違うのです。
短期的に上がるかどうかは分からないけど、長期的に上がる確率が高いと言うのが株式投資です。そして、出来るだけ損失を小さくしつつ、高い収益を目指すというのが一般的なスタンスになっています。
もちろん、ローリスク・ハイリターンの商品は作り得ませんから、リスクを抑えて高いリターンを求めるのも、限界はありますけどね。
一部の投資信託などでは、短期での予想が可能だという前提で、積極的に利益を追求しに行くものもありますけどね。はっきり言って、例外的です。
2つ目まで読んだ感じでは、率直に言って、プロとしてどうなのだろうという疑問を持たないわけではありません。でも、自称投資の専門家って、大体こんなもんなのですよね。他のページでもご紹介していますけど。肩書きだけは立派だから、ちょっと厄介です。
まあ、大事なことは自称プロの人たちの大半は、実力は大したことが無いと知っておくことです。そんな中にも、しっかりとした実力派はいますので、実力がある人と無い人を見分ける目も重要でしょうか。
とにかく、この手の記事は、疑ってかからないといけません。うかつに信じて損をするのは自分ですから。
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