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マクドナルドは薄利多売を前提としたモデル| 一度客が離れると建て直しはかなり難しい

マクドナルドに関して、面白い記事を見つけました。どんな記事かというと、財務諸表の数字を使って、マクドナルドの経営分析をしている記事です。

マクドナルド批判に関する記事は印象論に基づくものが多いだけに、数字を使った客観的な評価というのは非常に参考になります。そして、その数字を見ると、マクドナルドの経営の危うさがよく分かります。かなり危ない橋を渡ってきた感じですね。

典型的な薄利多売のシステム

ちなみに、今回見かけた記事というのが、次の記事です。

マクドナルドの「原価」を調べてみた。 (中嶋よしふみ SCOL編集長)
シェアーズカフェ・オンライン 2015年4月21日

細かい部分に関しては記事を読んでもらうとして、個人的に一番気になったのが、粗利を計算している部分です。ちょっと引用してみましょう。

■マックの「粗利」は10%以下。
日本マクドナルドホールディングスの有価証券報告書によれば、マクドナルドの原価率はおよそ90%前後となっている。

過去3年の原価の割合を見てみよう。数字はそれぞれ 材料費(食材など)、労務費(人件費)、その他(賃料など)、そして合計額である総原価の4つだ(いずれも直営店のデータ)。

2013年 34.5% 30.2% 24.6% 89.3%
2014年 35.3% 31.3% 26.7% 93.2%
2015年 35.9% 32.4% 27.8% 96.1%

ちなみに、一般的な飲食店の粗利とは計算方法が違うのですが、有価証券報告書から引用した数字ということで、数字自体は間違っていないのでしょう。

それぞれのパーセンテージは、説明が不十分なのでちょっとわかりづらいです。文脈から判断すると、売り上げに対する比率という事のようです。

これを見て一番最初に気づくのが、利益率の低さです。一応、粗利といっているので、この原価率の部分には販売管理費とか広告宣伝費は含まれていないのでしょう。それらを含まないのに、売り上げに対するコストが9割前後もあるのです。

財務諸表を読みなれていない人にはわかりづらいでしょうが、通常の飲食店や小売では、こんな状態は成立し得ません。マクドナルドのような規模があるから、何とか成立していたシステムと言えるでしょう。

というのも、常識的には、販売管理費や広告費の合計が売り上げの10%を切るという事はありえないからです。売り上げが大きいから、売り上げの10%以下に販売管理費や広告費を抑えることができ、利益を出せたわけです。

材料費率は売り上げに依存しない

この数字をもう少し細かく見てみましょう。

まず、売り上げに対する材料費の比率が気になります。一般の飲食店では、この部分を原価率と呼ぶはずです。ここでは、記事の流儀に従って、材料費率と呼びましょう。

報道でもあるように、過去3年で、マクドナルドは売り上げを大きく落としているはずです。それにもかかわらず、材料費率は34.5%から35.9%と1.5ポイントしか増えていません。変化はそれほど大きくありません。

もちろん、マクドナルドの規模だと、1.5ポイントでも金額的には大きな差があります。でも、他の項目に比べると影響が小さいのがわかります。ということは、あるていどの規模を維持できさえすれば、材料費率は問題無さそうです。

円安の影響がありながら、よくこの程度で抑えたという印象です。

売り上げが減ると人件費や店舗のコストの割合が増える

材料費よりも売り上げ減の影響が大きいのが、人件費と店舗のコストです。材料費は過去3年で2.2ポイント増えていますし、その他の項目は3.2ポイント増えています。まあ、こういう傾向になるのは、まあ、当然といえば当然なんですけどね。

店舗を訪れる人の数が多かろうと少なかろうと、店舗の家賃は変わらないですよね。という事は、売り上げが落ちれば、売り上げに対する比率は高くなるわけです。

人件費の場合も大体同じで、客数が減っても、店舗をまわすのに最低必要な人員は確保しないといけません。そうなると、人件費の節約には限界があるわけです。

もっとも、人員は状況次第で多少増減が可能です。ですから、「その他」に比べれば上昇の幅が小さかったのでしょう。

売り上げに対する材料費が35%前後はちょっと高過ぎる

それでは、この数字を元に、マクドナルドの建て直しに何が必要なのか考えてみましょう。

まず、35%前後という材料費率は、ちょっと高すぎる感じがします。最近は単価が高い商品を増やして、この部分をてこ入れしたがっていたようでした。

でも、この数字を見ると、あまり上手く行っていないようですね。一時期100円マックからの脱却をはかっていたようですが、それも上手くいかなかったようですし。

一度付いてしまった、「マクドナルド=安い店」というイメージから抜け出すのは、簡単な事では無いでしょう。でも、このままデフレ時代のモデルで行くのも、相当難しいでしょうし。マクドナルドとしては悩ましいところです。

それでも、客単価を上げるという試みは、多少は成功しているのかもしれません。その結果、円安にもかかわらず、材料費率がそれほど高くない可能性もあります。

このあたりは、ちゃんと分析をしてみる必要がありそうですね。まあ、今の印象だと、まだまだという感じですけど。

客数を増やせるのか?

上のデータをみると、マクドナルドが低迷している原因は、売上高が減っているからと考えられます。ということは、逆に言うと、売り上げさえ戻ればマクドナルドは復活できるということになります。

問題は、簡単に売り上げが戻るかですよね。新聞記事などを読んでいると、現在のマクドナルドの低迷は中国産の鶏肉の管理の問題だという論調が目立ちます。でも、多分、そういう事だけでは無いはずです。

ネットの書き込みを見る限り、違う部分でも色々と問題はありそうですよね。例えば、次のような批判を目にしたことがあります。

  • 客層が悪くて店で飲食したくない
  • 店舗の汚れが目立つようになった
  • 従業員の対応が悪くなった

ちなみに従業員の対応に関しては、個人的にもちょっと嫌な経験をしたことがあります。

ここで批判されていることって、以前のマクドナルドでは考えにくかったことですよね。特に、清潔さの維持と従業員の対応に関しては、かなり気を配っていた印象があります。ちょっと言い方は悪いですが、「味以外の満足度は最高」というイメージがマクドナルドにはあったのです。

こういった問題を抱えたままで、客数が増やせるとは思いにくいです。また、安売りのイメージと同様で、一度付いてしまった悪いイメージは簡単には拭えないでしょう。まずは、昔のいいイメージを取り戻せるようにすることでしょう。

でも、これらの問題を解決するのって、実はかなり難しいんですよね。例えば、店舗の清潔さを保とうともうと、24時間営業がネックになります。本来清掃をしていた時間を削って営業していたのが、現在の悪評につながっていると考えられるからです。

でも、24時間営業をやめてしまうと、売り上げが落ちるのは確実です。今のマクドナルドの状況を考えると、売り上げが落ちるのが分かっている施策をとるのは難しいでしょう。薄利多売のモデルですから。

つまり、身動きが取りづらい状態になっているわけですね。

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