安倍内閣の発足当初、アベノミクスに反対していた人たちは、盛んに反対キャンペーンを行っていました。彼らが当時どんな発言をしていたのか、その発言がどの程度正確だったのかを、野口悠紀雄氏の記事を元にチェックしてみましょう。ダイヤモンドオンラインの2013年6月の記事です。
ちなみに、第2次安倍内閣の発足が2012年の末でした。ですから発足してから半年後くらいに書かれた記事ですね。
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金利は必ず上昇する、ですって
まずは、金利の見通しについてですが、次のような記述があります。
現在起きていることから最低限言えるのは、金融緩和にもかかわらず、将来の長期金利が上昇する(国債価格が下落する)との見通しが一般的になっていることだ。
当時の記憶が正しければ、長期金利が上昇するという見通しは必ずしも一般的ではなかったような気もします。
ちなみに引用箇所では、「一般的」という言葉を入れ、自分以外の人たちの意見として金利上昇が予想されているという書き方をしています。でも実際には、ご自身も金利上昇すると思っていたのでしょうね。その証拠に、この後は金利上昇をすることを前提に論を進めていますから。
で、結果的に金利がどうなったかはご存知の通りです。長期金利が上がるどころか、逆に下がってしまいました。
金利上昇を前提に議論をするからおかしな話に
野口氏は、この後も金利上昇を前提に議論を進めていきます。その結果、次のようなことが起こると予想しています。
投資についてもそうだ。インフレ率が高まると将来の売り上げの名目値は増加する。しかし、名目金利が上昇するので、それらは高い金利で割り引かれることとなり、現在値は変わらない。したがって、投資の収益性は不変なのだ。
前提が間違ってしまっているので、当然ですが、結果も違っています。
実際にはインフレ率は高まりましたが、金利は低下しました。ということは、実質金利は下がったわけです。つまり、予想の全く反対で、投資の収益性は上がったわけですね。
経済の専門家として書いているわけですから、この予想は相当恥ずかしいでしょう。
かなり自信があった予想のようです
ちなみに、この予想にはかなりの自信があったようです。この記事を本人が見返したら、相当恥ずかしく感じるはずです。
名目金利が現在上昇しているのは、まさにそうした調整が現実の経済で起こり始めていることの証拠だ。インフレターゲット論が誤りであることが、証明されつつあるのである。
「証明」ですって。相当自信があったのが分かります。
でも、残念なことに、結果的に野口氏の文脈では、インフレターゲットの誤りは証明できませんでした。実質金利が下がるという意味では、確実にうまく行っています。むしろ彼の予想の反対の結果になったわけです。
ちなみに、「名目金利が現在上昇している」という表現がありますが、これに関しても針小棒大な話なんですよね。0.6%くらいだった金利が0.8%になっただけですから。1%にも満たない金利で金利上昇の悪影響を話されても困ってしまいます。
アベノミクス反対派というバイアスがかかった記事なのかな
そして、記事の最後を次のように締めくくっています。
日銀が2%という高いインフレ目標を採用したことで、パンドラの箱が開かれてしまった。長期金利の上昇は、箱から飛び出した最初の災いだ。これと連動して、これまでは顕在化しなかったさまざまな問題が生じる危険がある。長期金利高騰の重大性を過小評価してはならない。
この方は、元々、アベノミクスに反対する立場を取っているようです。ですから、ちょっとした金利の上昇に嬉しくなって、こんな記事を書いてしまったのかもしれません。
ついにアベノミクスの失敗が確認されたと思ったのでしょう。結果的に今読み返すと、残念なことになっていますけど。
紙媒体の時代なら蒸し返されなかったのにね
こんなふうに後々検証されやすいのがネットの特徴ですね。ただの雑誌記事なら、蒸し返される事も無かったでしょうに。
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