新聞と言うのは、客観的な事実を伝えるものだと思っている人もいるでしょう。しかし、その認識は間違っています。新聞というのは、自社の見解をもとに記事を書いています。
あからさまに新聞社の主張が分かるような場合もあります。しかしそんな記事ばかりではありません。客観的な事実だけに見えるような記事でも、その中で印象を操作しようとしているものも多いのです。
もちろん、2014年に問題になった朝日新聞の捏造のようなことは、それほど多くは無いでしょう。でも、嘘にならない程度の印象操作は、頻繁に行われていると考えて読むのが言いようです。
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アベノミクスがうまく行っていないという印象操作
具体例をとして、次のような記事をご紹介しましょう。2014年12月29日の共同通信の記事です。
14年の上場企業倒産ゼロに 24年ぶり、資金繰り改善で
国内に上場する企業の倒産が2014年はゼロになる見通しとなったことが、帝国データバンクの調べで29日分かった。ゼロになれば1990年以来、24年ぶり。アベノミクスによる株高で、保有株式の価格が上昇して資金繰りが改善したことや、銀行の貸し出し姿勢が好転したことが寄与した。中小企業を含む全体の倒産件数も、14年1~11月でみると前年の同じ期間に比べ約1割減の約8500件と減少傾向となった。ただ、そのうち円安を理由とした倒産は301件と過去最多となり、アベノミクスの副作用も示した格好だ。
全体的に景気がよくなり倒産件数が減ったことを伝えています。でも、最後に、「円安を理由とした倒産は301件と過去最多となり、アベノミクスの副作用も示した」という文言を入れることで、記事の印象を悪くするわけです。
全体と比べると円安倒産の割合はかなり小さい
数字を比べてみると、円安倒産の件数が301件なのに対して、倒産件数は8,500件も減少している事がわかります。数字で見れば一目瞭然ですが、円安倒産って全体で見ると、些細なことなんですよね。でも、一番最後にこれを入れることで、大きな副作用があるかのような印象を与えられるのです。
一般的に文章では、一番最後に書かれていることはより強く印象に残るのだそうです。意図したものかどうかは分かりませんが、最後にネガティブな内容を持ってくることで、何かしらの印象を与えようとした可能性はありそうです。少なくとも通信社の記者なら、その辺りは意識して書いていても不思議ではありません。
円安倒産だけを取り上げたもっと偏った記事も
ただ、まだこのくらいなら、それほど大きな問題ではありません。プラスの面もしっかりと書かれてはいますから。
もっと酷いと、円安倒産の部分だけを切り取って報じたりもするのです。こんな報道だと、完全に判断を間違ってしまいますよね。
実際、朝日新聞や毎日新聞は、過去に円安倒産だけを取り上げた記事を書いています。1 そのときには全体の倒産については一言も触れてはいません。全体の倒産件数が減っているのを知らない読者は、日本の景気に対して全く反対の判断をするでしょう。
朝日新聞のスタンスからすると、やっぱり意図的にこういう書き方をしていると考えるのが自然でしょう。自民党の特に安部は嫌いそうですから。
最初からバイアスがかかっているものとして読まないといけない
新聞と言うのは、ある程度偏っていても問題は無いのでしょう。もちろん、朝日新聞がやったような捏造は許されませんし、人権の侵害もいけないですけどね。それさえなければ、自由に編集していいもののはずです。
ですから私たちとしては、新聞の情報が偏ったものであることを知った上で、読む必要があるわけです。新聞に書かれたことだけを額面どおりに受け取ってしまうと、判断を間違うことがありますからね。新聞社ごとのスタンスを知り、どういう意図で書かれたのかまで意識して読まないといけません。
例えば、円安倒産が増えたと言うニュースだけを見ていると、景気が悪いように錯覚する人もいるでしょう。でも、実は、それが一部の数字だけを取り出したもので、全体では倒産が減っているのです。これを知れば、全く判断は逆になるはずです。
何にしても、新聞をありがたがって読むと言うのは、間違った習慣です。情報ツールとしてそれなりに役には立ちますが、すべてを信じてしまうにはあまりに危険なものです。
- 円安倒産、11月が過去最多に 帝国データ調べ(朝日新聞)2014年12月4日 [↩]
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