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心の動きを知っていれば株式投資で注意する点がわかる【行動経済学】

気分が落ち込んだ人が、ストレスを発散するために、衝動買いをすることはあります。気分がいいときに、人に奢ったりする人もいますね。このように、心とお金には、何らかの関係があります。

ただ、従来の経済学は、こうした心の問題は考慮されていませんでした。これに対する動きとして生まれたのが、行動経済学です。

さて、それでは、株式投資と心には、どんな関係があるのでしょうか。お金と心に関係があるのなら、株式投資と心にも何らかの関係がありそうです。

心とお金には関係がある(行動経済学)

人間のお金に関する行動は、心の影響を受けます。例えば、競馬で大勝ちした人は、気前よく食事を奢ったりするような事がありますよね。

こうした、心とお金の関係を研究する分野が行動経済学です。近年はノーベル賞を取るような研究もあるようです。

行動経済学自体は、まだまだ確立した分野ではありません。それでも、私たちの株式投資で利用できそうな研究成果もあるようです。

このページでは、代表的なものをいくつか紹介していきたいと思います。

買ったときの値段が売却の判断に影響する(アンカリング)

株式投資というのは、基本的には、株を買って将来売るものです。買ったときの株価よりも、売ったときの株価が高ければ、儲けたことになるわけですね。

ですから、いくらで買っていくらで売るかというのは、最終的な評価をする上ではとても重要です。でも、持っている株を売るかどうかの判断では、実は、それほど重要とは言えません。

例えば、株価1,000円で買った株が800円まで落ち込んだとします。そして、この株は、当面上昇が見込めないと判断したとしましょう。

こういうケースでは、損失を確定することになっても、売ってしまったほうがいいですよね。これ以上株価が上がらないのであれば、違う金融商品に乗り換えるが合理的です。

ただ、こういうケースでは、買ったときの株価に影響されてなかなか売ることができません。特に、現在の株価と買ったときの株価が近いときなどは、「株価が少しでも買値を超えたら、その時売ろう」などと考えてしまうわけですね。

このように、株式をいつ売るかという判断は、買ったときの株価に影響されます。そして、このように、何かの数字を基準にして考えてしまう傾向を、行動経済学では、アンカリングと言います。

アンカーは船の錨の事ですね。今回の場合は、買値がアンカーになっています。

このアンカーになる数字を基準にして、それよりも大きければ売ろうとか、それよりも小さければ持っていようなどと判断してしまうわけです。

直近の高値や安値がアンカーになることも

ちなみに、直近の高値や安値がアンカーになることもあります。

例えば、上の株式が1ヶ月前に950円の株価をつけたとします。そうすると、この株価よりも低い間は、なんとなく売りにくくなることもありそうですね。

あるいは、2週間前に800円だった株価が、現在900円まで上がっていたとします。こんなケースでは、買いたくてもためらう人もいるでしょう。

過去の高値や安値は、将来の株価には何の関係もありません。現在の株価と比べて将来の株価が上がると思えば買えばいいわけですし、逆なら売ればいいわけです。

ただ、アンカリングの影響は結構大きくて、過去の株価に影響を受けないで売買するのはかなり難しそうです。

ちなみに、たまたまチェックした株価に影響を受けるような場合すらります。

低すぎるPER、PBR の株は、つい避けてしまう(極端の回避)

一般的には、低いPER、PBR の株は、値上がり株の候補になると考えられています。PER というのは、株価を利益で割ったものですね。また、PBR は株価を1株簿価で割ったものです。

PER が小さいということは、利益に対して株価が小さいということになります。ですから、割安と判断できるわけですね。

また、PBR が小さいということは、1株の簿価に対して株価が小さいということになります。ということは、持っている資産に対して株価が小さい可能性があるわけです。ですから割安株の候補のはずです。

でも、PER やPBR があまりに小さすぎると、逆に買えなくなってしまう人はいるようですね。こういうのを極端の回避バイアスと言ったりします。

これだ株価が低いのは、なにか問題があるのではないかと思うのでしょうか。

もちろん、実際に問題があって、PER やPBR が低いこともあるんですけどね。例えば、今後の業績に問題がある事が予想されるからPBR が低いとか。

でも、そういうケースばかりではなく、安値で放置されている株というのも存在するのです。

買った株はいいニュースしか見ない(確証バイアス)

あなたがA社の株を買ったとします。こんなとき、あなたは、A社のプラスのニュースにばかり注目し、A社のマイナスのニュースには十分に気を配らないかもしれません。

少なくとも、人間には、そういう傾向があるようです。自分の判断の正当性を強化する情報は、価値が大きいと判断しがちなのです。

こういうのを確証バイアスといいます。ウィキペディアでは、次のように説明されています。

仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。認知バイアスの一種。

要するに、一度株を買ってしまうと、その株式に対する正当な評価ができなくなるという事ですね。あるいは、買うと決めた段階から、こういう状態になるのかもしれません。

株式投資において、この状態は、いいことではありません。自分がそうなっていないか、十分に気をつける必要があるでしょう。

上場されている会社の数が多すぎて株が買えない(後悔の回避)

株式投資をするには、まず、購入する株式を選ぶ必要があります。でも、これがなかなか大変です。

というのも、上場している日本の企業は、かなりの数にのぼるからです。2019年3月25日時点で、東証一部だけで2,141社も上場企業が有ります。

これだけの数の企業の中から、株式を買う1社または数社を選ぶのは、容易なことではありません。実際、数が多すぎて選べずに、株式投資を断念したという人だっているでしょう。

このように、選択肢が多すぎて選べないというバイアスを、後悔回避バイアスと言います。結果的に、他の選択肢の方が実は良かったと後悔するのが嫌で、一つに絞れなくなってしまうのです。そして、その結果、選ばないで終わってしまうわけですね。

たくさんの企業が上場していることは、本来であれば、投資家にはプラスのはずです。でも、それが、マイナスに作用することもあるわけです。

なかなか難しいですね。

自分の持っている株は価値が高いと思いがち(保有効果)

人間には、自分の持ち物の価値を高く評価する習性があるのだそうです。これを保有効果といいます。

この保有効果が、株式投資でも関係してくる可能性はありそうです。自分の持っている株を、市場価格(株価)以上の勝ちがあると思ってしまうのです。

そうすると、その株は、結局売ることができません。

売るリスクより保有するリスクを選ぶ(現状維持バイアス)

人間には、現状維持を選ぶ傾向があるようです。これを現状維持バイアスといいます。

株式投資でいうと、持っている株式をなかなか売却できないということはありそうですね。あるいは、逆に、株を買おう買おうと思っても、買えないということもあるでしょう。

株で儲けたお金は、使いすぎる傾向があるので注意(メンタル・アカウンティング)

給料でもらったお金と比べて、株式投資で儲けたお金は簡単に使ってしまう傾向があるようです。ギャンブルなどで得たお金は、ぱっと使ってしまうのと同じです。

本来は、どうやって入手しようと、お金の価値は同じはずです。でも、入手方法によって、人の感じ方は違うようですね。

ちなみに、このような心の働きをメンタル・アカウンティング(心の会計)と言います。働いて稼いだお金と、ギャンブルで稼いだお金を違った場所に仕分けるわけです。

バブルも行動経済学で説明できる(ハーディング現象)

最後に、ちょっとスケールが大き話を。

人間には、合理的に判断するのではなく、多くの人と同じ行動を取る傾向があるのだそうです。その方が、安心感を抱けるようですね。

こうした傾向の事を、ハーディング現象といいます。ハードは英語で「群れ」という意味ですね。

ようするに、群れと同じ行動を取ることで、安心できるという意味です。

こういう感覚に関しては、体感的に理解できる人も多いでしょう。自分で判断してベストと思うことをやるのではなく、集団の判断に流されてしまうという感じでしょうか。

実は、バブル経済も、このハーディング現象で説明できます。その意味で、経済的に大きな動きの一部も、行動経済学を使って説明できるというわけです。

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