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過去の株価や投信の基準価額を気にしても仕方がない| アンカーリングに注意しよう

株式や投資信託で運用をしていると、過去の株価や投資信託の基準価額を参考に売買の判断をすることがあります。買値より上がったから売ろうとか言った具合ですね。

でも、過去の株価などは、運用をする上では、たいして意味がある数字ではありません。税金がちょっと関連するくらいでしょうか。

たいして意味がある数字では無いのに、なぜ私たちは影響されてしまうのでしょうか。実は、私たちの心は、そういうものを気にするようにできているようなのです。アンカリングといいます。

過去の株価や基準価額の情報はどうしても入ってくる

株式投資や投資信託での運用をやっていると、どうしても、過去の高値・安値の情報が入ってきます。高値・安値だけでなく、最近の株価や投資信託の基準価額の情報は入ってきますね。

株式投資なら年初来安値が〇〇円で、年初来高値が〇〇円といった報道を時々見かけますね。また、チャートを見ていれば、最近の株価のレンジがどの程度なのか、ひと目で分かってしまいます。

また、投資信託にしても、基準価額の上げ下げはチャートで確認できます。インデックスファンドを買っている人なら、日経平均やTOPIX の高値・安値が投資信託の基準価額の高値・安値と連動している場合も多いでしょう。

真面目に運用しようと思う人ほど、この高値・安値の情報からは逃れられません。資産運用の入門書などをみても、こまめに株価や基準価額をチェックすることは良いことであるかのように書かれていますね。

逆に、放置しておいて平気という人なら、気にならないのでしょうけどね。なかなかそんな人はいないようです。

特に、投資経験が浅い人だと、気になって仕方がないでしょう。

過去の株価は将来の株価とは無関係

どうしても気になる高値や安値ですが、率直に言って、今後の株価(投資信託なら基準価額)とは無関係です。あくまで、過去にこういう数値だった時期があったというだけのことですよね。

近い将来、株価がその高値を超えるかどうかなんてわかりません。もちろん、最近の安値よりも株価が下がらないなんていう話もありません。本当に、ただの過去の数字です。

もっとも、チャートを見ていると今後の株価が予想できると信じている人もいます。株価チャートに線を引っ張ると、将来の株価が予想できると主張する人たちです。

そういう人には、過去の高値や安値は、一定の価値はあるのでしょうけどね。それ以外の私たちには、単なる過去の数字にほかならないのです。

実際の売買ではこの数字に影響される

このように合理的に考えると、過去の株価や基準価額は、今後の価格とは関係がありません。しかし、実際に売買するときには、かなり大きな影響を受けてしまいます。

例えば、株価や基準価額が上昇し始めると、過去の高値くらいまでは上がるのではないかと勝手に思ってしまいます。その結果、なかなか売れないということはありそうですよね。

あるいは、過去の高値くらいまで上がると、そろそろ上昇も止まるのではないかという気分になるものです。その結果、売りたくなってしまうこともあるでしょう。

あるいは、たまたま過去にチェックした株価が頭に残っていて、それよりも安いと売れなくなってしまうことも有ります。

実際に株式や投資信託の売買をしたことは分かると思いますが、本当に過去の株価や基準価額は、売るタイミングや買うタイミングでは気になってしまうものです。特に売るタイミングですね。

人間の性らしいです

ちなみに、この手の数字に影響を受けてしまうのは、人間の性らしいです。高値や安値だけでなく、買った時の値段も影響を受けそうですね。

その数字に売買の判断が影響を受けてしまうのです。買値よりも安いから売れないとか、高値に近づいたから売ってしまおうとかね。

このように、何かの数値に判断が影響を受けてしまう事を、アンカリングと言うそうです。アンカというのは、船の錨のことですね。

何かの数字を見ると、それが錨のように基準になってしまいます。そこから多い少ないで判断するので、アンカリングというわけです。行動経済学の言葉です。

アンカリングの例として有名なのは、次の例でしょう。

例えば、「国連加盟国のうちアフリカの国の割合はいくらか」という質問をしたときに、質問の前に「65%よりも大きいか小さいか」と尋ねた場合(中央値45%)、「10%よりも大きいか小さいか」と尋ねた場合(中央値25%)よりも、大きい数値の回答が得られるという。(ウィキペディア)

このように、前に出された数字に影響を受けるわけですね。

定価の○割引などのように安く見せる効果も

ちなみに、アンカリングを使った例として有名なのが、「定価の○割引」という宣伝文句です。定価が錨(基準の価格)になり、それより○割も安いので、かなり有利であるという印象を与えられるのです。

もっとも、この宣伝文句は普及しすぎてしまったために、最近では何のインパクトも無くなってしまいましたけどね。また、オープン価格と言って、定価を定めない商品も多いようですし。

この他にも、マーケティングの世界ではアンカリングは積極的に利用されているようです。

金融機関の営業でも使われています

資産運用関連のマーケティングだと、キャンペーン金利とかで利用されるかな。グループ会社の銀行と協力して、「普段は預金金利年0.1%ですが、A投信を買えば金利0.5%に引き上げます」みたいな売り方をすることがありますね。

この場合は、普段の預金金利0.1%がアンカーになります。それと比べて有利だという魅せ方をするわけです。

ちなみに、確かに預金金利だけを見れば、この提案は有利なんですけどね。投資信託から入ってくる手数料がそれ以上という場合がほとんどです。

つまり、このキャンペーン自体は、実際には有利でもなんでもないことが多いです。提案にの買ったら、負けというわけです。

資産運用では自分の行動を縛ってしまう

自身の資産運用においては、アンカリングにはデメリットしか無さそうです。

上にも書きましたが、本来であれば、いくらで売るかという判断には過去の株価は関係ないはずです。買値も年初来高値も年初来安値もどこかで見た株価も関係ありまえせん。

今の株価やら基準価額と比べて、将来上がると思えば売らなければいいですし、将来下がると思えば売ってしまえば良いわけですよね。あるいは、他にいい金融商品があれば乗り換えるとかね。

ですから、関係があるとすれば、現在の株価くらいということになるでしょうか。

税金が絡むので買値は関係ある

もちろん、税金とのからみがあるので、現実の判断はもう少し複雑です。税金が絡むという意味では、買値は少し関係あるかもしれませんね。

でも、いちばん大事なのは、今持っている金融商品が一番有利な金融商品なのかという判断のはずです。それをするには、過去の高値も安値も関係しないわけですね。

このアンカーリングに影響されて、正しい判断ができない人は、意外と多いように感じます。人間の心にはこういう傾向があるとわかった上で、運用するように心がけたいですね。

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