大和証券の入り口で、ファンドラップに関するキャンペーンのチラシが配られていました。ファンドラップを新規で契約すると、最長で1年間、大和ネクスト銀行の円定期預金の金利が優遇されると言うものです。
このページでは、このキャンペーンについて見てみましょう。何故キャンペーン内容を見るかと言うと、キャンペーンの仕組みを見ると金融機関が考えていることが良く分かるからです。
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500万円以上が必要で、半分以上はファンドラップとして運用が義務
このキャンペーンですが、一応預け入れる金額には条件があります。
まず、ファンドラップで運用する資金と定期預金を合わせて、500万円以上でないといけません。また、円定期預金に出来るのは、申し込み総額の50%以下にしないといけません。半分以上はファンドラップで運用しろということですね。
500万円以上のサービスと言うことですから、決して富裕層向けのサービスということでもありません。庶民でも何とか投資できる人はいるはずです。
ただ、それなりにお金をもっていない人は、門前払いということですね。
既存の顧客に厳しい条件
ちなみに定期預金の優遇金利は、原資としてどのような資金を使うかで、条件が違うようです。
一番有利な条件を提示されているのが、退職金を入金してファンドラップを買うケースです。この場合は、3ヶ月定期だと年率5.0%の金利が適用されます。1年間の定期だと、年率1.4%の金利が適用されます。
その次に有利なのが、退職金以外のお金を新たに入金して、ファンドラップを契約するケースです。この場合は、3ヶ月定期で年率4.0%、1年定期だと年率1.1%です。
そして、一番冷遇されるケースが、満期金や償還金などのすでに入金済みのお金を使って、ファンドラップに投資するケースです。この場合は、3ヶ月定期だと年率3.0%、1年定期だと年率0.9%が適用されます。
つまり、退職金を使って投資してくれる顧客は優遇し、既存顧客を冷遇するというキャンペーンになっているわけです。これって要するに、ファンドラップと言うのは、退職金の扱いに困るような人に狙いを定めた商品だと言うことですね。
一見有利なキャンペーンが可能なのはファンドラップの手数料が高いから
ちなみに、大和証券のファンドラップキャンペーンは、かなり有利な条件になっています。かなり定期預金の金利が高めに設定されているのです。
これを書いている現在の10年物の日本国債の表面利率は0.6%を割るような水準です。それにもかかわらず、1年の定期預金で1%程度の金利が付くと言うのは、金融の常識では考えられないことなのです。
金融の知識が無い人にはわかりにくいかも知れませんが、信じられないくらい優遇されていると言って良いでしょう。
1年物の定期で1%を超える超えるのはかなりの優遇
1年物の定期で1%を超える金利であると言うのは、どのくらいの優遇なのでしょうか。これは、大和ネクスト銀行の別のキャンペーンを見るとよく分かります。
これを書いている時点で大和ネクスト銀行は、ファンドラップのものとは別に、定期金利の優遇措置をやっています。300万円以上の新規資金による定期預金であることが条件で、そのときの優遇金利が6か月物と1年物の定期預金で、最大年0.40%なのです。
つまり、大和ネクスト銀行の定期預金のみのキャンペーンだと、ファンドラップのキャンペーンの3分の1程度の金利しか出せないことになります。
ファンドラップのキャンペーンが、如何に優遇されているか良く分かりますね。本当に、常識では考えられないほどの優遇なのです。
ファンドラップの手数料が高いから実現可能
世の中、おいしい話には裏があるものです。今回のファンドラップのキャンペーンも例外ではありません。どんな裏かと言うと、ファンドラップの手数料に秘密があります。
ファンドラップを使うには、まず、ファンドラップ自体の手数料を払わないといけません。ファンドラップの手数料は、運用資金の中から定期的に抜かれていきます。
しかし、ファンドラップんいかかる手数料は、これだけではありません。普通に手数料を払った上で、さらに、ファンドラップが投資する投資信託の手数料も負担することになるのです。
つまり、手数料の二重取りになっている分けですね。
大和証券としては、ファンドラップの手数料だけでなく、投資信託の手数料のかなりの部分を自分の売り上げにすることが出来ます。その利益が優遇金利の上乗せ分よりもずっと大きいので、年率1%超などという信じられないような金利を実現できるのです。
つまり、一見有利なように見えるキャンペーンですが、結局のところ、ファンドラップの手数料が高かったと言うだけの話なのです。
ファンドラップは儲かるって事だよね
ここまで見てきたことを総合して考えると、ファンドラップは金融機関にとって儲かる商品だという認識なのでしょうね。儲かる商品なので、かなり積極的に契約を取ろうとしています。
そして、新規の顧客を優遇しているところから、新たな資金を引っ張ってこようとしているのが分かります。特に退職金に目を付けているようですね。
さて、金融機関が儲かる商品と言うのは、投資家が損をするというのとほとんど同じ意味です。率直に言って、この商品を利用する価値があるのかは、相当疑問ですね。
最近、退職金の運用先として、ファンドラップを含むラップ口座を選ぶ人が多いと言う報道もあるようです。ただ、みんなが使っているからという理由だけで選択するのは、かなり危険だと考えた方がいいかもしれません。
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