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無知な個人投資家を騙すなんて簡単な事なのかもしれない

某商社の個人向け社債の発行条件を見てびっくり。こんな条件で買う人がいるのだろうかという内容でした。

個人投資家はなめられているのではないかと言う疑念すら抱きます。

たまたま手にとった個人向け債券のパンフレット

近所のみずほ証券の前を通りかかったところ、一冊のパンフレットがおいてありました。そのタイトルは「満期金・償還金を上手に運用しませんか」というものです。

タイトルの下には、「みずほ証券から債券運用のご提案」と書かれていました。どうやら、余ったお金で債券でも買ってみたらという勧誘のようです。

どんな事が書いてあるのか興味深かったので、持ち帰ってみました。今のところ、自分で債券、特に社債をを買うことはないでしょうけどね。

中身は、まあ、想像通りの内容です。証券会社が扱う、債券の概略を紹介していました。

1ページ:個人向け国債の紹介
2ページ:国内社債の紹介
3ページ:外貨建債券の紹介
4ページ:現在の経済状況の説明
5ページ:外貨建MMFの紹介

パンフレットとしては、特に面白みもない、ごくありふれたものです。しかし、その中で、いくつか面白いポイントを発見しました。

面白いと言うか、個人投資家のことを舐めているんだろうなあと思わずにはいられないような記述があったのです。ここではその一つを紹介します。

国債よりも信用が劣るはずの普通社債の方が利率りが低い?

今回手にした資料の前半では、個人向け国債と社債の例が紹介されていました。その中に、首をかしげるものがありました。

具体的には、次の3つの債券の関係を見て「おやっ?」と思うところがあったのです。

  • 10年もの個人向け国債(変動10年) 初回利率 年0.64%
  • 5年もの個人向け国債(固定5年) 利率 年0.27%
  • 某商社の5年もの普通社債 利率 年0.56%

さて、この3つの金利を見て、おかしい点が有るのに気づきますか?

債券と金利のルールを確認

一般論から言うと、普通社債の利率は国債よりも高くなります。それは、一企業の方が国よりも信頼されていないからです。

これは、言い換えると、お金が返ってこない確率が高いほうが金利が高くなるわけです。まあ現状では、国がなければ企業は存在しえません。ですから、自然なことですよね。

また、償還までの期間が長い方が金利が高くなる傾向があります。償還まで5年の債券と10年の債券なら、発行体が同じなら10年の債券の方が金利が高くなるわけです。

上の数字を見ると、確かにその傾向があるのはわかります。同じ5年もので比べた場合、個人向け国債の利率は社債の約半分です。

10年物の国債を5年で中途解約するのが一番有利そうだ

でも、実は、今回紹介した件に関しては、そんなに簡単ではないのです。実は、10年物の個人向け国債を買って、5年で売却するのがベストである可能性が大きいのです。

個人向け国債は、償還前でも、発行後1年以上経過していたら額面で買い取ってくれます。ただし、そのときに多少のペナルティがあります。

中途換金のペナルティというのは、解約時からさかのぼって過去2回分の利子の8割を引かれる事です。国債の利払いは年2回なので、1年分の利息の8割をペナルティとして支払う事になります。

このことを頭に入れた上で、某商社の社債と10年もの国債を比較してみましょう。簡単のために、それぞれ、100万円分の債券を買ったとします。

また10年もの国債の利率は、5年間変動がなかったものとしましょう。本来は、10年の個人向け国債は変動金利なんですけどね。

●某商社の社債の場合

100万円 + 100万円 × 0.56% ×5回 =100万円 + 0.56万円 × 5 =100万円 + 2.8万円 =102万8,000円

●10年もの国債を5年で売った場合

100万円 + 100万円 × 0.64% ×5回 - 100万円 × 0.64% × 0.8 =100万円 + 0.64万円 × 5 - 0.512万円 =100万円 + 3.2万円 -0.512万円 =102万6,880円

この結果からわかるように、100万円投資して5年間で1,120円しか違いません。利率の面ではほとんど差がないわけです。

社債と国債で金利に大差がないのなら、どちらが有利かは明らかですよね。ですから、この社債の金利の設定には、違和感を覚えてしまうわけです。

個人向け国債の方がこんなに有利

今回のケースだと、10年ものの個人向け国債を5年で売った場合、社債とほとんど利率が変わらないことがわかりました。しかし、金利以外の条件で比べると、この2つはぜんぜん違います。

発行体の信用力がぜんぜん違う

最大の違いは、発行体の信用力の差でしょう。発行体というのは、債券を発行している組織のことですね。要するに、お金を借りている人の事です。

今回の某商社は、国内的な知名度もある優良企業です。それでも、国債と無担保の普通社債では、信用力は比較になりません。

この理由だけでも、個人向け国債を選ぶ価値があるはずです。

流動性も個人向け国債のほうがはるかに高い

また、流動性も大きく違います。流動性というのは、金融商品をお金にしやすいかどうかという基準です。

社債を償還前に現金化しようと思ったとき、証券会社などに持ち込めば買い取ってもらう事は可能です。しかし日本では社債のマーケットがないので、証券会社の言い値で売るしかありません。

また、金利の動向次第では、大きく元本割れすることもあります。つまり、中途解約には、それなりの難しさがあるのです。

一方、個人向け国債の場合は、発行から1年経てば額面どうりに買い取ってもらえます。上に書いたように、多少のペナルティはありますが、これまで受け取った利息よりも小さいものです。

ということは、個人向け国債には元本保証があるのです。

変動金利はインフレにも強い

10年物の個人向け国債がインフレにも強いというのも、大事な要素かもしれません。10年もの個人向け国債は変動金利の商品なので、長期金利が上昇しても影響がないのです。

インフレが起こると長期金利の上昇が予想されます。固定金利の場合は発行した時の金利のままですが、10年物の個人向け国債なら、長期金利にあわせて金利が上がるのです。

購入が容易

さらに言うと、社債と比べ個人向け国債は購入が容易です。

某商社の社債は100万円単位で購入できます。一方、個人向け国債は1万円単位で購入可能です。

富裕層は別にして、個人で100万円単位だと、躊躇してしまう人も多いでしょう。万が一にもこの商社が潰れたら、投資したお金がほとんどかえってこない可能性すらあるわけですから。

違いは明らか

ざっと考えただけで、これだけ大きな差があるわけです。これで実質の金利がほぼ同じということになれば、個人向け国債を選ばないのは愚かです。

そもそも、社債の設定がおかしいような気がします

この某商社の社債は、個人投資家に販売する事を意識しているものなのでしょう。なぜかというと、100万円単位で購入できるようにしているからです。

企業だけを相手にしているのなら、売買単位を1億円など大きくします。というのも、売り手の都合としては、可能な限り売買単位を大きくしたいのです。

100万円ずつ1億円分売るとしたら、100人に売らないと行けないですよね。事務の手間は対して変わりませんから、1億円分をまとめて売るのの100倍の手間がかかるわけです。

それにもかかわらず、100万円単位としているということは、明らかに個人をターゲットに発行されているということでしょう。個人でも買えるレベルにまで、単価を下げているのです。

見くびられる個人投資家

個人向けに販売するつもりで上のような条件を設定したとすれば、条件を決めた人は完全に個人投資家を見くびっている感じがします。見くびっていると言うか、舐められていると言うか。

というのも、社債の条件を考えた人なら、10年ものの個人向け国債についても熟知していたはずです。それを知った上でも、この条件でも個人投資家は買うだろうと思って発行したわけですから。

10年ものの個人国債を途中で売却したケースとの比較を、個人はしない、あるいはできないと思っていたのでしょう。そうでなければ、もう少し良い条件にするはずです。

条件の良い定期預金にした方が、マシだったりして

ついでにもう一つ。

先ほどの社債と、元本保証の定期預金と比較してみましょう。社債を買うよりも、定期預金の方がマシなケースがあるかもしれないと思ったのです。

ここでは、円預金の金利が高い、住信SBIネット銀行と比較してみましょう。

ちなみに、個人的には住信SBIネット銀行はおすすめのネット銀行です。 興味がある人は、住信SBIネット銀行について説明した、次のページもご覧ください。

定期預金と社債の金利は大差がない

これを書いている時点で、住信SBIネット銀行の5年物の円定期預金の金利は年0.40%あります。つまり、某商社の利率と0.16%しか違いません。

某商社の社債は元本保証ではありますが、絶対にお金が返ってくるという保証はありません。ちょっと微妙な表現ですね。

まず、償還まで待てば額面通りの金額が戻ってきます。この意味では元本保証と言ってもいいでしょう。

しかし、某商社の経営が行き詰まれば、お金が返ってこない可能性だってあります。社債というのは企業の借金なので、企業経営が行き詰まると返すことができないのです。

一方、銀行の定期預金は、元本1,000万円とその利息は預金保険機構の保護対象です。万が一銀行が倒産しても、預金は守られます。

つまり、企業倒産のリスクに対しては、定期預金の方が圧倒的に有利だということです。

しかも一般に、定期預金は中途解約しても元本割れする事はありません。中途解約金利を適用されるので、利息は減ってしまいますが。

住信SBIネット銀行の定期預金も、この点は同じです。

一方、社債を途中で換金するのが不利なのは、上で見たとおりです。つまり、流動性の点でも、社債は劣ります。途中で売却すると、大幅に減っている可能性が有るのです。

それなのに、0.16ポイントの差しかないわけです。定期預金と某商社の社債の比較でも、社債が負けるような気がします。

1,600円のためにリスクを取りますか?

ちなみに、0.16ポイントの差という事は、運用額が100万円でも年に1,600円しか違わないということです。5年で考えても、高々8,000円の差です。

この差のために、リスクを取って某商社の債権を買うのは、あまり賢い事ではないですよね。そもそも、時間をかけて考えることすら面倒な話だと思います。

運用額がもう一桁大きかったら、多少話は違ってくるかもしれませんけど。

ということで、次のような結論で良いのではないでしょうか。

個人の安全資産は変動10年の個人向け国債か金利が高いネット銀行の定期預金で運用するのがお得。


個人投資家が債券に投資するなら、ネット証券が便利!

大手のネット証券なら、個人向け国債から高金利の外国債券まで購入する事ができます。さらには、ちょっとリスクが高い商品も購入可能です。債券の投資に興味を持っているなら、チェックしてみましょう。ちなみに、お勧めは、SBI証券です。

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個人の資産運用で一番有利な金融商品は、何と言っても確定拠出年金(個人型)でしょう。いわゆるiDeCo のことです。

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