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7.0%の利回りで元本保証に近い?| 資産運用の常識があれば胡散臭いと思うはず

ネットやら雑誌やらを見てると、時々、すごく有利に見える投資情報が載っていたりします。こういうのを見ていると、資産運用の常識があれば避けられるのにと思わずにいられません。

株式投資よりも有利なリターンで、元本保証的であることを謳っているのです。常識があれば、まず疑ってかかりますよね。

変な案件にだまされないようにするには、ある程度の常識を身につけるのが重要そうです。

元本保証的で高利回り

Yahoo!ニュースを見ていたら、「7.0%の利回り」を謳った広告が出ていました。「みんなで大家さん」というサービスです。どうやら、名前の通り、不動産投資への出資を募る広告のようです。

すごく大雑把に言うと、お金を集めて物件を取得し、テナント貸して賃料を得るというモデルのようですね。その賃料の一部が、出資者に対して、年6回分配されるという仕組みです。

まあようするに、形としては、REIT と似たようなことをやっているわけです。

リスクが小さいという印象を与えるサイト

ちなみに広告サイトの中では、一応、元本保証とは言っていません。しかし、元本保証を匂わせるような表現は、何箇所か見つけることができました。

「これまで一度も元本評価割れはありません」というような表現が、随所に書かれているのです。出資者としては、元本保証とは言わないまでも、リスクが小さい投資であるという印象を受けるでしょう。

しかし、想定利回りが年7.0%というのは、REIT の分配金のリターンよりもかなり大きな数字です。しかも元本保証風の文言がついているわけです。

理由は後述しますが、率直に言って、めちゃくちゃ胡散臭いです。かつての安愚楽牧場などと同じ匂いがします。

もちろん、この投資案件がまともなものである可能性はあります。それは否定しません。でも、疑ってかからないと相当危ないなあという印象を受けました。

簡単に出資する人もいるのでしょう

でも、こういう広告をみると、世の中には、簡単に引っかかってしまう人が一定の割合でいるのでしょうね。一応出資者も集まっているようですし。

こういうビジネスって、ほんの一部の人を騙せればいいので、多くの人が胡散臭いと思って大丈夫なのでしょうね。むしろ、「これまで元本割れはありません」などの文言を乗せることで、リスクを過度に嫌う人は騙されやすいのかもしれません。

安全なものを選んだつもりが、より危ないものに投資してしまうわけです。ありがちな話ですね。

期待リターンは常識として知っておこう

それでは、この案件が怪しいと思われる根拠をご説明しましょう。

元本保証を目指して7.0%は考えにくい

まずは、株式投資との比較をしてみましょう。

そのためには期待リターン(あるいは期待収益率)という言葉を理解しておく必要があります。

期待リターンというのは、将来に得られるリターンの平均の予想です。平均すると、1年に何%くらい資産価値が増えるのかという数字が期待リターンです。

公的年金の積立金を運用するGPIF という機関があります。ここが出している資料によると、年金積立金の運用では、国内株式の期待リターンは名目で4.7%あるいは5.9%という予想をしています。1

つまり、株式に100万円投資すると、1年後に104万7000円か105万9000円になると予想しているということですね。リスクが大きいと思われている株式ですら、せいぜいこんな感じなのです。

投資においてリスクが大きいというのは、価格変動が大きいという意味です。そして、リスクが大きいほどリターンが大きいというルールがあります。

ということは、元本保証などをしたら、当然ですがリターンは小さくなると考えるべきなのです。日本国債の金利が低いのと同じ理由です。

そう考えると、この案件の7.0%という数字が、かなり異常な数字であることがわかります。投資の知識がある人なら、実は大きなリスクがある事を隠しているのかもしれないと思うでしょう。

REIT と比べても明らかにおかしい

そもそも、類似の不動産投資であるREIT と比較しても、7%というのは異常なんですよね。実際、REIT の分配金利回りは、年3.44%なのだそうです。2 これは1年間に3.44%が分配金として戻ってくるという意味ですね。

REIT のような元本割れリスクの大きな商品でも、分配金利回りは3%台です。その倍も利回りがあって元本保証的な商品って、やっぱり、ちょっと考えにくいわけです。

やっぱり、怪しい感じはします。

本当に有利なら投資家が殺到して利回りが下がる

そもそも、こんな有利な投資というのは、存在し得ないと考えるべきでしょう。それが常識的な考え方です。

というのも、こんな有利な案件が本当にあるのなら、お金がすごい勢いで集まります。それを見たら、もっと条件を下げても大丈夫と考えるでしょう。お金を集める側としては、当然ですよね。

結局、お金が集まるギリギリのところまで、条件は下がっていくはずです。そうでないと、お金を集める側としては理屈にあいません。

出資を募る側としては、少しでもいい条件と考えるのは当然ですからね。ボランティアでやっているわけではないのですから。

ということは逆に言うと、今回紹介した案件には、これだけのいい条件を提示しないとお金が集まらないと考えられるわけです。いい話には裏があるということです。

本当に有利なら借り入れができるはず

そもそも、本当に有利な案件なら自分でお金を借りるという選択肢だってあるはずですよね。

今ならお金を借りるのも簡単ですから。物件の数などにもよりますが、人に出資させるのではなく自分で出したって良いわけです。

有利な案件なら、ガンガンリスクを取って借りれば良いわけですよね。もちろん、借りられる額にも限界はありますから、それに行き詰まったら出資を募るというモデルもあるでしょうけどね。

それとも、自分でリスクを取りたくなかったということでしょうか。そうだとしても、お金を集めるときに、業者にとってもうちょっと有利な条件を模索するはずでしょう。

銀行の貸出金利との比較は、やっていないはずがありませんから。

不動産を借りる側で考えてもやっぱり変

今回の案件って、物件を借りる側の立場から考えても、やっぱり不自然です。

投資家の利回りで7%ということは、間に入っている業者の取り分を考慮すると、物件価格の10%程度の手数料を取られていると考えられます。

10%ということは、仮に一般住宅で考えると、3,600万円のマンションに住むのに年間360万円の賃料を払うということです。1か月になおすと30万円です。

3,600万円のマンションに住むのに、月々30万円の賃料を払うって、ちょっとありえませんよね。その程度のマンションの賃料なんて、どう考えたって、10万円台がいいところです。

事業用の物件は住宅と比べて賃料が高いとしても、ちょっと考えられない水準と言えるでしょう。

本当に7%で運用できるとすれば、銀行などから借り入れをしてレバレッジを掛けているとしか思えません。しかも、かなりの額を借りているのでは無いでしょうか。

ということは、その意味でもかなりリスクが大きい可能性があります。

興味がある人は納得行くまで調べましょう

詳しいとは、ちゃんと調べてみないとわかりません。ただ、宣伝通りの優良案件だと思うと、将来的に後悔することになるかもしれません。

興味があれば、ここからさらに調べてみればいいでしょう。まあ、これだけ常識に合わない感じだと、個人的には、これ以上調べる気にはなれませんが。

投資の常識を身につけるのは大事

この件からもわかるように、投資の常識というのは非常に重要です。株式の期待リターンが5%程度だと知っていれば、7%の利回りが胡散臭いと思うはずなのです。

そう思った上で考えるのと、7%がちょっと有利な案件という程度の認識で考えるのでは、得られる結論も違ってくるでしょう。本当に株式投資よりも有利だとしたら、かなりのリスクがあると気づきますからね。

これから資産運用をしようと思っている人は、株式の期待リターンと10年もの国債の金利くらいは把握しておくと良いでしょう。この2つの数字と比べることで、まともな案件なのかどうか、簡単なチェックはできます。

この数字に引っ張られすぎるのも危険

とは言え、株式の期待リターン5%に影響されすぎるのも危険です。

例えばマンション投資の場合、オーナーチェンジ物件というのがあります。すでに入居者がいて、賃料を得ている物件で、所有者が売りに出しているというケースです。

こういう場合は、「表面利回り5%」というような形で、表面利回りが広告やサイトに載ることが多いです。これを見て、株式の期待リターンと近い値なので、良い投資だと思ってしまう人がいるのです。

しかし、表面利回りというのは、様々な手数料を差し引く前の数字です。ですから、実質的な利回りはさらに小さくなります。ということは、投資対象としては微妙な物件である可能性が大きいわけです。

単純に株式の期待リターンだけが頭にあると、こういう誤りを犯すこともありそうです。行動経済学で言うアンカリングというやつですね。

もちろん、株式の期待リターンを知っている方が失敗は少ないですけどね。こういうケースもあるので、注意は必要です。


  1. 基本ポートフォリオの定期検証について| 年金積立金管理運用独立行政法人
    第106回運用委員会 資料 平成28年5月30日 []
  2. 不動産投資信託(REIT)とは > REIT教室 powered by東証 > REIT教室 第2限| SBI証券 []

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