2011年度の国内の投資信託の純流入額が、分配金の総額を下回ったのだそうです。これは、どう考えても異常事態と言っていいでしょう。
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状況を整理してみましょう
用語も含めて、簡単に説明してみましょう。
純流入額と言うのは、新規に契約して入ってきたお金から、解約などで出て行ったお金を引いた額です。逆に解約で出て行ったお金の方が多い場合は、純流出額と言います。
一方、分配金と言うのは、株式投資の配当金のようなお金です。投資信託の運用財産の一部から、月に1回とか年に2回など回数を決めて、投資家に払い戻されます。
要するに、投資信託の流入額よりも入ってきたお金よりも、分配金としての流出額の方が大きいという事です。
■ 2011年の国内投信、分配総額が純流入額を上回る1
投資信託業界は縮小していると考えられる
繰り返しますが、今回のニュースでは、純流入額よりも分配金の総額の方が大きくなったと言っています。これが何を意味するかというと、投資信託の業界全体で考えると、入ってきた運用資金よりも出て行った運用資金の方が大きいと言う事になります。
また昨年のような状況では、投資がうまく行くはずはありません。ということは、全体として運用の規模は相当小さくなっていると言っていいはずです。
投資信託というのは、金融機関からすると、運用資金の一部を手数料として受取るビジネスです。ですから、運用の規模が小さくなると言う事は、業界全体の売上高の減少とほぼ同じ意味なのです。
ですから、今回のニュースは、投資信託全体にとっては大きな問題と言えるでしょう。
昨年の分配金が多いのが、そもそも異常
さて、記事の中では、分配金の増加が今回の事象のひとつの要因であると解説されています。具体的に言うと、昨年の分配金が前年比で33%も増えているのだそうです。
でも、これって、どう考えても不自然ですよね。
先ほども書きましたが、昨年のような状況で運用がうまく行くはずがありません。運用がうまく行かないのに分配金が増えるなんて事は、本来起こるはずも無いのです。
一つ考えられるとすれば、運用益がでていなくても分配金を配っていると言う事でしょう。
実際、大きく元本を割り込んでも分配金を出し続けている投資信託もあるようです。そのほうが投資家の受けがいいのでしょうが、はっきり言って自殺行為です。
投資家は賢くならないといけない
金融機関が投資信託の分配金を増やしているのは、そのほうが個人投資家の受けが良いからです。
知識が無い投資家は、分配金を預金の利息のようなものととらえています。そして、分配金を支払う投資信託に、安心感を覚えるようです。
しかし、分配金と銀行の利息は全く性格が異なるものです。分配金と言うのは、自分のお金が払い戻されているに過ぎません。
さらに悪い事に、運用がマイナスでも分配金を払っている投資信託も多いようです。こうなると、もう、わけがわかりません。
利息だと錯覚させて、無知な投資家に投資信託を売ろうとする金融機関の態度は、あまり好きではありません。しかし、十分な知識を持たず、有利な商品だと信じてしまっている個人投資家もちょっと問題があるのではないでしょうか。
毎月分配型の投資信託が、投資の常識を大きく逸脱した商品である事は、ちょっと調べれば分かる事ですから。また、投資家に不利な商品を販売する金融機関の態度を批判している記事、も少なくありません。
2017年12月追記:毎月分配型の人気は衰えてきましたが
この記事を最初に書いたころから5年以上が経ち、状況はだいぶ変化してきたようです。少なくとも以前ほどは、毎月分配型の投資信託は売れていません。
とは言え、いまだに毎月分配型の投資信託は、根強い人気があるようです。マネー雑誌などでも時々特集を組まれているようですね。
ちなみに、毎月分配型の投資信託は、金融庁のレポートでもボロカスに書かれています。そんなひどい商品なのに、いまだに手を出したがる金融機関がいるわけですね。
おそらく、毎月分配型の投資信託というのは、売る方としては売りやすいのでしょうね。分配金が毎月支払われるということで、投資かは儲かっているという錯覚を感じやすいでしょうから。
でも、結局は、自分の運用資金を取り崩しているだけなんだけどなあ。いい加減気づくべきだと思います。
まあ、、今の調子だと、商品としては当分残るのでしょうね。本数自体は当然減るとは思いますが。あまり勉強しないで、金融機関のセールストークに簡単に乗ってしまう投資家は、後を絶たないでしょうからね。
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